梅雨

梅雨時期に起きやすい衣類トラブル~カビの特徴と発生したときの対処法~

梅雨の季節、起きやすく厄介な衣類トラブルが「カビ」です。

カビは繁殖すると、どんどん根を張り巡らせていきます。

水回りに発生したカビを思い浮かべてみてください。

根を巡らせたカビは周りに侵食していき、綺麗にするためにはかなり強い薬剤を使用します。

それでも実際、カビを完璧に取り除けないことも…。

これと同じ現象が衣類でも起きるのです。

繊維の奥まで根が張り巡らされたカビは、プロのクリーニングでも中々落とせないのです。

そんなことにならないためにもカビ対策をしっかりして、カビを見つけた場合はすぐに取り除くようにしましょう。

カビの特徴

カビを予防するにあたって、カビの種類やどういった環境を好むのかを知っておいた方がいいでしょう。

そこで、まずはカビの特徴を説明します。

カビの種類

一口にカビと言っても様々な種類があります。

その中でも衣類に生えるものは大きく以下の3種類に分けられます。

それぞれ特徴や生えたときの落とし方が異なるので要チェックですよ!

白カビ

ふわりとした形状の白いカビで、ホコリと見間違えてしまいそうな見た目をしています。

濃い色の衣類についていると目立つので発見しやすいです。

衣類に付着するカビの中では、比較的落としやすいカビです。

赤カビ

風呂場でもよく見かける赤色やピンク色をしたカビです。

水回りによく発生しますが、濡れた衣類にも生えることがあります。

こちらも落としやすいカビの一つです。

黒カビ

浴槽や洗濯槽に生えるカビで、一番ポピュラーなカビとも言えます。

黒カビは繊維の奥まで根を張っていることが多く白カビや赤カビに比べて落としにくく、衣類に生えるカビで最も厄介な種類です。

カビの好む環境

カビは胞子を飛ばして生息範囲を広げるため、1枚の衣類にカビが生えたらそのまま収納場所全体に広がります。

そのため、発生した場所がカビに適した環境だと、瞬く間に増殖していきます。

そんな事態を防ぐためにもまずは、カビが繁殖しやすい環境について知っておきましょう。

温度

カビが好む温度は20~25℃です。

0~40℃の範囲で生育可能ですが、活発になるのは20℃前後といわれています。

人間に快適な温度はカビにも快適な温度ということですね。

そのため温度でのカビ対策は難しいので湿度と栄養でしっかりカビ予防をすることが大事です。

湿度

カビが好む湿度は70%以上です。

60%以上で繁殖し、湿度が80%を超えると繁殖のスピードが上がります。

特に梅雨時期は、雨が降り続けたり部屋干ししたりと家の中もじめじめしがちで、湿度が高くなりやすいです。

対策としては除湿器やエアコン、除湿剤を使って湿度が高くなりすぎないようにしましょう。

湿度は60%以下キープを目標にしましょう。

場所

カビは日当たりや風通しの悪い所を好みます。

家の中だと部屋の隅、表面に凹凸のある壁、結露の多い場所などがあたります。

昔の住居であれば通気性がよかったですが、近年の住居は気密性が高いためカビが生えやすいです。

部屋の中の湿度が60%以下でも部屋の隅やタンスの裏などは通気性が悪くなりがちなので注意が必要です。

そのため、衣類を保管するクローゼットやタンスも、カビにとって絶好の繁殖場所です。

定期的な換気、除湿剤の活用、こまめな清掃を心掛けましょう。

栄養

カビは葉緑素を持っておらず、何かに寄生しないと栄養を摂取できません。

逆に言えば栄養があればいくらでも繁殖できてしまいます。

衣類に食べこぼしや皮脂汚れがついていたり、収納場所にホコリ等のごみがたまっているとそれらがカビの養分になってしまいます。

衣類や保管場所は汚れをしっかり取り除いておく必要がありますね。

カビが生えやすい物

カビは衣類の素材によっても生えやすさが変わってきます。

特に注意が必要な素材は皮革製品と天然素材で、「革→ウール→シルク→綿」の順番で被害に遭いやすいです。

しかし、汚れが付着したままだったり、保管状態が悪いと普段カビが生えることがあまりない化学繊維の衣類でもカビが生えることがあるので注意が必要です。

革製品

革製品はシーズンが終わると長期保管しますが、その間にカビが生えていることが多いですね。

履き終わった革靴をそのまま下駄箱で保管したらカビだらけになったことはありませんか?

革の衣類でもこれと同じことが起きるので要注意です。

カビはタンパク質や炭水化物を好みますが、革の表面には栄養となるそれらの物質がたくさんあります。

また、クリーニング頻度が低くなりがちなものなので、人間の皮脂や皮膚片が付いておりカビの発生しやすさに拍車をかけています。

高額なものが多い革製品は先の事を考えると多少コストが高くてもワンシーズン使ったらクリーニングに出すべきと言えるでしょう。

自然素材

綿や絹など自然素材の衣類は気軽に着れるものが多く、普段着にもよく使われています。

汗を吸いやすくさらっとした着心地が特徴ですね。

汗を吸う分、皮脂も生地にしみこみんでいることが多いです。

シャツや下着類であれば洗濯頻度が高いのでカビの栄養が残ることは少ないですが、ジャケットなどになると、洗う頻度が低くなりがちです。

またつい見た目がきれいだからと洗わずに保管してしまいがちでもあります。

自然素材もカビの栄養が豊富なので、保管の際は仕舞洗いをして少しでもリスクを下げるべきでしょう。

スーツ

素材とは別ですがカビが生えやすい物としてはスーツ類が挙げられます。

着用回数が多い分、スーツには皮脂や汗がたくさん染み込んでいるためです。

また、礼服は着る時間や頻度が少ないです分、クリーニング頻度も比例して少なくなりがちです。

シーズンが終わったので夏の間保管して秋頃いざ着ようとしたらカビだらけだったなんてことも多いようです。

他の物同様、シーズンが終わり長期保管する際は仕舞洗いを徹底しましょう。

保管中の注意

仕舞洗いをすることでリスクは下がりますが、保管状態が悪ければカビが生えてしまう事があります。

そのため、家庭で保管している間も下記の点に注意しましょう。


クリーニングのビニールは外す

クリーニングから戻ってきた衣類は、ビニールのカバーが付いていますが保管の際は必ず外しましょう。

ビニールをかけたままだと、ビニール内に湿気がたまり温度も上がるのでカビが発生しやすくなります。

クリーニングのビニールは、あくまで汚れ防止なので保管時は外すのが大事です。

「ホコリ等が気になるからカバーをかけたまま収納したい」という方は、市販の不織布のカバーを利用するといいでしょう。


タンスの段の使い分け
湿気は重いため下の方に溜まります。

なのでタンスを使う際はカビが発生しやすい物を上の段に、しにくい物を下の段に収納するといいでしょう。

例えば上段にシルクやウール、中段にコットンやリネン、下段に合成繊維と分けて収納するのがおすすめです。

また、詰め込みすぎにも注意が必要ですよ。

空気が通るようある程度余裕を持たせての収納を心掛けましょう。


湿気を溜めない
仕舞洗いをしても湿気がたまっているとカビは発生するので、湿気を溜めないようにすることが大事です。

クローゼットやタンスは定期的に開けて換気をし、空気の流れを作ってあげましょう。


湿気対策では除湿剤を使うのもおすすめです。

但し使用の際は注意や説明をしっかり読んで正しく利用してください。

こまめに確認をして水分が満杯になったら交換してくださいね。

また、変色の原因になるので除湿剤の薬剤や液は衣類につかないようにしましょう。

服にカビが生えたとき

仕舞洗いを徹底したり、保管中も換気をしたりと気を使っていてもカビが生えてしまう事はどうしてもあります。

カビは種類や程度によって大きく3つの落とし方があります。

それぞれ解説しますのでぜひご覧ください。

カビを吸ったり素手で触らないようにマスクやゴム手袋などを事前に準備しておくといいですね。

アルコールで落とす

軽いカビ汚れであれば、消毒用アルコールを用いて取り除くことができます。

※ただカビは表面をきれいにしても繊維の奥に菌が残っていることもあり、時間が経つとまた発生する可能性があるので早めに洗濯やクリーニングに出してください。


1.衣類の汚れを払い落とす
ブラシなどを使い衣類表面についている汚れをはらいます。

繊維や縫い目に沿って優しくブラッシングしてください。

目に見えないカビ胞子や表面についた軽いカビを落とすのが目的です。


2.カビ汚れに消毒用アルコールを吹きかける
払い落とせなかったカビに対し、アルコールを吹きかけます。

吹きかける量としては軽く湿る程度の量で充分です。

その際アルコールで色落ちなどが起きることもあるので目立たない場所で試してからにしましょう。

また、つけすぎるとアルコールの成分で肌荒れを起こすこともあるのでその点にも注意が必要です。


3.ティッシュなどで拭き取る
吹きかけたアルコールを拭き取ります。

カビが落ちにくいと感じた場合には、使い捨ての歯ブラシなどで軽く擦るとよいでしょう。

その際、ゴシゴシとこするのはNGですよ。

衣類にダメージを必要以上に与えないためにも優しい力でというのを心掛けてください。

洗濯で落とす

軽いカビは消毒用アルコールで落とせますが、それでも落ちない場合には漂白剤を使って、洗濯をしましょう。

カビの種類によって対処方法が異なるので注意が必要です。

いずれの方法でも漂白剤を使いますが色落ちしないか事前に目立たない場所などで確認をしておいたり、長時間漬け込むときは注意しましょう。

洗濯で白いカビを落とす

白カビは洗濯で落とせる場合は多いです。

その際は次の手順で洗濯しましょう。


1.衣類の汚れを払い落とす
アルコールできれいにするとき同様、まずはブラシで衣類表面に汚れやカビの胞子をはらいます。

白カビは軽くて舞いやすいため、ブラッシングである程度落とすことができます。

この時、舞った白カビが再度付着しないよう通気性の良い場所で行うとよいでしょう。


2.カビ部分に消毒用アルコールを吹きかける
こちらもアルコールできれいにするとき同様、アルコールを吹き付けティッシュや歯ブラシなどで軽く擦り、白カビを落とします。


3.酸素系漂白剤を使って洗濯

払い落としとアルコールで落ちなかった白カビには酸素系漂白剤を使います。

40~50℃程度のぬるま湯の中に酸素系漂白剤を入れ衣類をすすぎます。

その後洗濯機で洗濯し白カビと漂白剤の両方を落としてください。


4.乾燥
通気性がよい場所で充分に乾かしましょう。

洗濯で赤カビを落とす

赤カビも白カビ同様に家庭での洗濯で落とせる場合があります。

次のような手順でカビを落としてみましょう。


1.衣類を酸素系漂白剤につけ置き
40~50℃のぬるま湯に酸素系漂白剤を入れた溶液を用意します。

衣類を溶液の中に入れつけおきします。


2.洗濯して乾燥
衣類を溶液から取り出し洗濯機で通常通り洗濯をします。

洗濯が終わったら洗濯槽からすぐに取り出し、通気性の良い場所で充分に乾かすようにしましょう。

洗濯で黒カビを落とす

衣類についた黒カビを落とすのは難しいですが、徹底的に行うことで洗濯で落とせる場合もあります。

基本的な方法は赤カビと同様ですが、漂白剤をより染み込ませるような工夫が必要です。

具体的な方法は次の通りです。


1.黒カビに漂白剤を塗り込む
綿棒などを使ってカビが生えているポイントに酸素系漂白剤を直接塗りこむ。


2.衣類を酸素系漂白剤につけ置き

40~50℃のぬるま湯の中に酸素系漂白剤を入れた溶液を用意します。

衣類を溶液の中に入れつけおきする。

時折、衣類とカビの状況を確認しカビが落ちるまでつけおきます。


3.洗濯して乾燥
カビが落ちた後は赤カビの時と同様、通常通り洗濯をして、通気性の良い場所で乾燥させる。

上記の方法は洗濯に対して、耐久性の高い衣類であれば簡単に試してみることができます。

しかし、熱に弱かったり、漂白剤が使えなかったりするような衣類には適用することができません。

漂白剤が使えないデリケートな衣類はクリーニングに相談するのがよいでしょう。

漂白剤を使う時の注意点

素材への注意点
効果が強力な塩素系漂白剤と色柄物にも使える酸素系漂白剤はどちらもアルカリ性です。

アルカリ性はタンパク質を溶かす性質があるので、毛・シルクを使った衣類には使用できません。

そのため、毛やシルクを使った衣類には液体の漂白剤を使いましょう。

液体の漂白剤は酸性なのでたんぱく質にも影響なく使用できます。

また、漂白剤は基本的に水洗いできないものや金属製のボタンやファスナーがある衣類には使用しない方がいいでしょう。

漂白剤と金属が化学反応しボロボロになったり、変色する恐れがあります。


使用する際の水温
漂白剤を使用する際はあまり高い温度のお湯は使わないようにしましょう。

お湯を使うことで洗浄力はアップしますがその分色落ちのリスクも高まります。

色落ちが心配な場合はぬるま湯(40℃程度)が効果的です。


長時間のつけ置き

漂白剤は洗剤と違い汚れ除去とつけおき時間が比例します。

つまり長時間つけおきすれば汚れ落ちがよくなります。

しかしその分繊維にもダメージが行き、ごわつきや色落ちが起こりやすくなってしまいます。

洗浄力と繊維へのダメージは比例するので、この点を理解して定期的に様子を観察しながらつけおきするようにしましょう。

重要なのが「一度色落ちした衣類は基本的に元には戻らない」点です。

うっかり塩素系漂白剤を色柄物に使ったり、長時間つけこんでしまったりなんてことが無いようにしましょう。


日焼け止めとの反応

衣類に日焼け止めの成分が残っていると塩素系漂白剤と反応し、衣類が赤くなることがあります。

事前に中性洗剤やシミ抜き剤などでしっかり汚れを落としておきましょう。

クリーニングで落とす

自宅での洗濯でカビが落とせない時は衣類のプロであるクリーニング業者に依頼してみるといいでしょう。

最近では宅配クリーニングも増えてきたため、わざわざお店に出向く必要が無く、忙しい人でもクリーニングを使いやすくなってきました。

ただ、黒カビだけはプロのクリーニングでも対応できない場合があるので事前に問い合わせてみたり、お店の受付と対面で相談してみた方がいいかもしれません。

ここまで3種類の方法をあげてきましたが、これらの方法でカビを落とせなかった場合、残念ながら衣類を処分するしかないかもしれません。

そうならないためにも予防と早めの対処を心掛けましょう。

まとめ

仕舞洗いをすることと、保管中の湿気対策をしっかり行っていればそうそうカビが生えることはありません。

特に保管中は収納スペースに衣類を詰めすぎない事と、定期的な換気、除湿剤の活用を心掛けましょう。

衣類の置き場が足りないという方はクリーニングの保管サービスに頼るのもおすすめです。

丁寧に洗い・仕上げた後は衣類に適した状態で保管してくれるので、カビ以外の衣類トラブルもまとめて予防することができます。

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