繊維

あなたの服は大丈夫?~身近な素材ポリウレタンの特徴~

ポリウレタンという素材をご存じですか?この素材は様々な形で身近に存在していますが、その中でも一番知られている利用方法は衣類だと思います。今回はそんなポリウレタンの特徴についてご紹介します!

ポリウレタンとは

ポリウレタンは1940年ごろドイツで開発された、5~10倍の伸縮性を持つゴムのような繊維です。イソシアート基と水酸基を有する化合物を重付加して生成された、ウレタン結合を有する化学物質を総称してポリウレタンと呼びます。合成皮革のコートやスポーツウェアなど様々な製品に用いられています。合成皮革やコーティング素材に使用されているポリウレタンは樹脂状にしてコーティングされています。また、生地と生地を張り合わせて作られたボンディング加工布や、シームレスダウンなどには接着剤としてポリウレタン樹脂が使われてます。
※様々な衣類に使われていますが、コートやダウン類、ウィンドブレーカーなど冬物衣料や機能性の高い衣料に多く使われる傾向があります。

ポリウレタン樹脂は自在に変化し、風合いがよいことが最大の特徴です。また、天然ゴムと異なり染色性があったり、温度や湿度の急激な変化にも強いという特徴があります。
例えば伸縮性があるのでスリムタイプのパンツでも楽に穿くことができ、フェイクレザーであれば革のような質感ですが、本物の革製品より安く手に入れることができます。

衣服で使用されるポリウレタンの加工方法

ポリウレタンの経年劣化

メリットの多いポリウレタンには、実は致命的な弱点が存在します。それは「経年劣化」です。この弱点が原因となっているクリーニング事故も頻発しています。

経年劣化とは…

着用年数や使用頻度にかかわらず、時間の経過によって劣化が進んでいくことをいいます。

衣類に使われるポリウレタンは製造されてから通常2~3年で劣化します。あくまで目安なので、使用環境や取り扱い方法により劣化スピードが速まることがあります。劣化は、空気中の水分による加水分解や紫外線、ガス、熱、着用中の汚れ、機械的応力(引張や摩擦)など様々な要因によって生じます。劣化すると、べたついたり、コーティングが剥がれたり、シミ出したりなど様々な現象が起こります。

またポリウレタンは樹脂の他にも、ストレッチ糸として多くの衣類に使用されています。伸縮性があるのでスーツやスポーツウェアなどに使われることが多いです。このストレッチ糸も同じポリウレタンである為、経年劣化を避けることはできません。こちらの場合は劣化すると切れてしまい、生地が伸びたような状態や糸が飛び出して白く見える事などが起こります。特に肘や膝など負荷のかかりやすい部分に起きやすいので注意が必要です。

ポリウレタン劣化事例…

・伸縮性のあった服がヨレヨレになる
・ジャケットの表面が剥がれたり、ボロボロとカスが落ちる
・コートの表面にひび割れやぷつぷつとした穴ができる
・ジャケットの表面やスポーツウェアの裏地がべたついたり異臭がする

経年劣化により破れてしまったジャンパーの裏地
経年劣化により破れてしまったジャンパーの裏地
ブーツの中も経年劣化でボロボロに…

長持ちさせるためにできる事

残念ながらポリウレタンの劣化を完全に防ぐことはできません。ですが、お手入れ次第では劣化を若干ですが遅らせる事はできます。ここではそんな劣化を遅らせる方法を3つお教えします。

①温度と湿度、紫外線に気を付ける

ポリウレタンは高温多湿の所に保管すると、空気中の水分が原因で劣化が起こりやすくなったり、劣化スピードを速めてしまう可能性があります。また、紫外線によっても脆化が進むので直射日光を避けて保管しましょう。

もし雨などで濡れた際は水滴をしっかりとふき取って乾かすことも忘れないようにしましょう。拭き取るときは力を入れゴシゴシとこするのは厳禁です。ポリウレタンにダメージを与えないよう、優しく拭いてあげてください。テントやレイン用品などの場合は乾燥剤を入れ密封保管するのがおすすめです。

②長期保管の場合はクリーニングをしてからしまう

着用後はできるだけ早くクリーニングすることを心掛けましょう。冬の寒いところで着ていた衣類でも、意外と汗や汚れはついているものです。汗などの汚れも劣化スピードを速める原因になるので、しまう際はクリーニングでしっかりと汚れを落としてからしまうようにしましょう。
※クリーニング処理によって、元々劣化が進んでいた状態が表面化することもあります。
クリーニング店に出す際、素材の状態などをあらかじめ聞いてから判断することがクリーニング事故を防ぐことに繋がります。

もし、まだ着る予定がある服の生地の表面が汚れていたら、水拭きは避けて速乾性のあるアルコール除菌シートで拭いてあげるといいですね。ただし、色落ちの可能性もあるので、目立たない部分で色落ちしないか確認してから拭くようにしてください。

③素材の劣化を理解したうえで購入する

勘違いしがちですがポリウレタンの劣化は購入から3年ではなく、製造から3年です。購入の際は衣類の表示ラベルを確認して製造からどのくらいの期間が経過しているかを必ず確認するようにしましょう。確認をすることで、「購入したばかりなのにもう劣化して着れない」なんていう最悪のケースを未然に防ぐことができます。

併せて覚えておきたいのが、衣類の表示ラベルにポリウレタンが使われていると明記されていないことがあるというものです。糸やコーティング剤として使用していれば明記されることが多いのですが、接着樹脂として使用されていると明記されていないことがほとんどです。シームレスダウンなど一目見てわかるものはいいとしても、判断の付かないものも多いですよね。そういう時は店員さんなどにポリウレタンが使用されているか尋ねてみるのもいいでしょう。

まとめ

ポリウレタンは高い収縮性・衝撃吸収性を持っていますが、「経年劣化」という避けられないデメリットがある事を知っていただけたと思います。くどいですが劣化は製造から3年ほどです。日頃のお手入れで劣化を遅らせることもできますが、完全に防ぐことはできません。

購入する際は製造時期や、どの部分にポリウレタンが使用されているかなどをよく確認したうえで購入するようにしましょう。最近ではポリウレタンの代わりになる繊維も開発されていますので、その繊維が使われた衣類を探してみるのもいいかもしれません。
クリーニングに出す際は、店員さんに「××年製造です」と伝えてあげるといいですね。クリーニング店でも衣類の表示ラベルなどで確認はしますが、事前に伝えることで相互理解の上で進めることができ、クリーニング事故を未然に防ぐことにもつながります。

この記事が衣類を購入する際や、大切な衣類を長持ちさせる参考になれば幸いです。
それでは、また次回の記事でお会いしましょう!

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