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あなたは防虫対策ばっちり?~害虫や防虫剤の特徴を抑えて虫食い被害から衣類を守ろう~

寒くなってきてニットやコートを着る方も増えてきたと思います。着ようと思って出した服に小さな穴が開いていたなんて方はいらっしゃいませんか?その穴…収納中に虫食いに遭ったのが原因かもしれません。

今回はそんな厄介な虫の特徴から対策法まで丸っと説明していこうと思います。防虫対策は大事ですが思いがけない落とし穴もあるので注意点までしっかりご覧ください!

虫ってどこから来るの?

衣類を食べる虫たちの事をまとめて衣料害虫と呼びます。まとめてと言いましたが、虫食い被害の原因は、カツオブシムシ類かイガ類がほとんどです。これらの衣料害虫は暗く通気性の悪い場所を好みます。生地が厚く、虫の姿が見えにくい衣類(コートやセーターなど)は絶好の環境です。見えにくい場所で虫が過ごすので気付かないうちに卵や幼虫が繁殖しているなんてこともあります。

害虫は外出時や、窓の隙間など様々なタイミングで衣類に入り込みます。気付かないことの方が多いので防虫対策なしでは、衣類への侵入を防ぐことはできません。外出時にも虫が侵入する可能性があるので高層階マンションに住んでいるからと油断はできないのです!

衣料害虫による被害

衣料害虫一番の被害は虫食い。しまっていた衣類を出してみたら穴だらけだったそんな経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。小さく目立たない穴ならまだしも、虫食いで空いた大きな穴は修理が難しいです。
また、衣類に侵入する虫の中には「ダニ」も含まれます。アレルギーの原因にもなるダニがいたら、安心して着ることができないだけでなく、健康にも影響が出かねません。
そんな事態を防ぐためにも衣類の防虫は大切なのです。

衣料害虫の特徴

衣類を食べるこの虫達ですが成虫は衣類を食べません。そう、衣類を食べているのは幼虫なのです。しかもこの幼虫時期は長く、年の大半が虫食い被害にあう危険性があります。年に3回も発生する種類もいるので大切な衣類を守る上で防虫対策は必須です。対策をするためにもまずは虫の特徴を抑えていきましょう。

衣料害虫は暗くて通気性が悪く湿度の高い場所を好みます。温度が25~30℃、湿度が50~80%に一番活発に活動します。本来、冬の寒い時期や夏の温度の高い時期などはあまり活動しないのですが、近年のエアコン普及により人が年中快適に過ごせるようになってきたことで、虫にも過ごしやすい環境が整ってきており1年中注意が必要になってきています。

衣料害虫はウールやシルクなど動物繊維が使用されている衣服を好みます。理由としては繊維の中にたんぱく質が含まれておりそれが衣料害虫の好物(栄養源)だからです。
また、化学繊維などは虫食い被害に遭わないと思われがちですが条件がそろえば化学繊維の衣類でも虫食い被害に遭う可能性があります。それは衣類に食べこぼしや汗汚れが付着したままであった場合です。これらの汚れも衣料害虫の栄養源となるので、付着したままだと動物繊維以外の衣類でも虫食い被害に遭う恐れがあります。

虫食い被害を起こす代表的な衣料害虫はカツオブシムシ類とイガ類に分けられます。ヒメマルカツオブシムシ、ヒメカツオブシムシ、イガ、コイガがほとんどで、これらをまとめて「4大衣類害虫」と呼ばれたりもします。
次は衣料害虫の特徴を1種類ずつピックアップして見ていきましょう。

カツオブシムシ類

カツオブシムシは衣類に発生して繊維を食べる害虫ですが衣類の他にも、昆虫の死骸や乾燥食品にも発生することがあります。名前も鰹節に発生していたことからつけられました。日本に生息する代表的なカツオブシムシは、ヒメマルカツオブシムシとヒメカツオブシムシの2種類になります。この2種類は成虫の見た目こそ違いますが、活動期間や餌といった生態はほぼ同じです。

ヒメマルカツオブシムシ

主な生息地域:日本全国
発生時期:年に1回。4~5月に産卵
活動期間:1年中。幼虫期間は6~2月
体の特徴:幼虫は太めの円筒形で成熟すると4㎜に達することもある。槍状毛と呼ばれる毛が生えている。成虫は2.5~3㎜程度で黄色・黒色・白色の毛が体全体を覆っている。
餌:ウールやカシミヤなどの動物繊維や、絹などの植物繊維。鰹節などの動物系の乾燥食品、虫の死骸など。

ヒメカツオブシムシ

主な生息地域:日本全国
発生時期:年に1回。4~5月に産卵
活動期間:1年中。幼虫期間は6~2月
体の特徴:幼虫は赤褐色の円筒形で約9㎜。腹部の末端に長い数十本の褐色長毛の束を持っている。成虫は3.3~5.5㎜程度で黒色で楕円形の甲虫。
餌:ウールやカシミヤなどの動物繊維や、絹などの植物繊維。鰹節などの動物系の乾燥食品、虫の死骸など。咬む力が強く包装された食品でも袋などを破って侵入することがある。

イガ類

イガ類は蛾の仲間で幼虫はイモムシです。成虫が飛来して窓の隙間などから家屋に浸入し、家具の裏など埃っぽいところに産卵・孵化します。イガ類はカツオブシムシ類と異なり、幼虫期間が短いため年に何回も発生を繰り返します。特にコイガは年に3回以上発生し、1回の産卵で非常に多く卵を産みます。

イガ

主な生息地域:日本全国
発生時期:年に2~3回。
活動期間:1年中。冬は寒いため幼虫期間が長くなりがち
体の特徴:幼虫は約7㎜。頭部が光沢のある漆黒色で、細長い円筒形。成虫は5㎜程度で翅に斑紋がある。
餌:ウールなどの動物性繊維、鰹節や魚粉などの動物質食品を好む。食べこぼしや汗汚れなどに集まる。

コイガ

主な生息地域:日本全国
発生時期:年に3~4回
活動期間:1年中。冬は寒いため幼虫期間が長くなりがち
体の特徴:幼虫は約5~7㎜。細長い円筒形で、色は光沢のある黄褐色。成虫は6㎜程度でコイガという名前だがイガより一回り大きい。
餌:ウールなどの動物性繊維、鰹節や魚粉などの動物質食品を好む。食べこぼしや汗汚れなどに集まる。イガよりも食性が広く玄米や小麦などの食品にも発生することがある。

衣料害虫についてもっと詳しく知りたい方はこちら
※外部サイト(KINCHOさんの公式サイト)に飛びます

衣料害虫の発生サイクル

害虫から衣料を守るには

大切な衣類を守るためには防虫が必要不可欠だということを知っていただけたかと思います。防虫のポイントとしては害虫の好む環境を作らないことです。下の文章はこれだけは抑えてほしいポイントとなっています!

動物繊維製品はクリーニングへ

ウールなど動物繊維が用いられた衣類は衣料害虫の大好物です。ご家庭で洗うのが難しいデリケートなものが多いので、無理せずクリーニングにお願いして、しっかりと汚れを落としておきましょう。

植物繊維や化学繊維も油断禁物

食べこぼしや汗汚れが付着したままであれば、どんな製品でも虫たちの餌になる可能性があります。動物繊維の製品でないからと油断はせず汚れはしっかり取り除くようにしましょう。

収納の際は除湿剤や防虫剤を使う

クローゼットやタンスなど収納する場所は通気性が悪く湿度が高くなりやすいところが多いので、除湿剤を使って対策しましょう。また、防虫対策として市販の防虫剤を使うのも効果的です。ただし正確に使わないと効果を発揮しないので使用の際は説明をよく読んでください。
※収納場所にホコリ等があると虫が住み着きやすくなるので、衣類をしまう前にあらかじめ掃除するのをお忘れなく。

長期保管前は仕舞洗いをする

衣替えなどで長期的に着る予定のない衣類はしっかりと仕舞洗いをしましょう。クリーニング店で汗抜きをしてもらうのもおすすめです。クリーニングしてからしまう際はビニールは外してください。湿気がたまってカビの原因になる可能性があります。
※片側が不織布のビニールの場合はそのまましまっても大丈夫ですよ。

クリーニングの防虫

多くのクリーニング店ではオプションとして「防虫加工」を取り扱っています。この防虫加工と市販の防虫剤とでは何が違うのでしょうか?
クリーニング店では衣類自体に防虫作用のある特別な溶液を塗布することで防虫加工しているのです。市販のものと違い全体に塗布することで防虫効果が非常に高いのが特徴です。しかも、この加工はガス化しないので防虫剤特有の嫌なニオイも無く、人体にも安全性が高いので安心してご利用いただけます。また、持続性が高いのも特徴で保管状態により前後しますが、次のクリーニングまで効果が続きます。市販の防虫剤と併用することもできますよ。

・高い防虫効果はありますが100%完全ではないので油断は禁物です。
・紫外線によって防虫効果を失う恐れがあります。
 衣類の保管では直射日光を避けてください。
・クリーニング店によって使用している防虫加工剤が違います。
 効果など事前に確認してみてください。

市販の防虫剤

クリーニング店の防虫効果などを知っていただけたと思いますが、もちろん市販の防虫剤が悪いわけではありません。そこで次は、市販の防虫剤について解説していこうと思います。

市販の防虫剤にはいろいろなものがありますが、成分で見ると4種類に分けられます。
各成分の特徴を表にまとめました。

・2種類の防虫剤を同時に使うと液化して、衣類にシミを作ったり、衣服染料が溶解する恐れがあるので避けましょう。
・防虫剤や衣類を詰め込みすぎると、しわや型崩れの原因となったり、防虫剤の効果が発揮できない可能性があるので、収納の際はゆとりを持たせてください。
・市販の防虫剤は製品によって使用方法が異なるので、事故を防ぐためにも使用前は説明をよく読んで正しい方法で使用してください。

まとめ

「気付いたら虫食い被害に遭っていた」その原因をご理解いただけたかと思います。最近では年中虫の被害を警戒する必要があり、対策方法も様々です。皆さんの大事な衣類を守るためにも今一度衣類の保管方法を見直してみるのはいかがでしょうか。

仕舞洗いや防虫は大事ですが、デリケートな素材のコートやニットなどご家庭だけで対策するのが難しいものもあると思います。そんな時はお気軽に身近なクリーニング店をご活用ください!

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