日常

正しい熱中症対策の方法~暑い時期に積極的に取りたい食材とは~

熱中症対策と言えばよく聞くのがこまめな水分補給。

でも、効果的な水分補給の方法を知っていますか?

また熱中症対策は水分補給以外にも様々な方法があります。

そこで今回は熱中症対策について水分補給・食べ物・服装の3つの観点からご紹介します。

効率的な水分補給

一般的な人の1日の水分出納は約2.5Lと言われています。

その内訳は尿:約1.5L、不感蒸泄:約0.9L、便:約0.1Lだとか…。

(不感蒸泄…呼気や皮膚から失われる水分)

夏場は汗をかく分、意識して水分の摂取を心掛ける必要があります。

水だけでなく汗をかいたら塩分補給も必要

汗にはナトリウムが含まれており、この濃度は体液の1/2~1/3程度です。

このため大量に汗をかくと、体液から水やナトリウムが同時に失われますが、体液のナトリウム濃度は上昇します。

ナトリウム濃度の上昇は口渇感を引き起こし飲水行動が起こる原因に…。

この際、水だけを飲むと、失った体液量の回復以前にナトリウム濃度が薄まってしまい、水を飲む気持ちがなくなってしまいます。

これが自発的脱水と呼ばれるものです。

塩分(ナトリウム)と糖分を含んだ水分補給が効率的

熱中症予防の水分補給として、日本スポーツ協会では、0.1~0.2%の食塩(食塩相当量が100ml中0.1~0.2g)と糖質を含んだものを推奨しています。

エネルギーの補給を考慮すれば、4~8%程度の糖質濃度がよいでしょう。

冷えたイオン飲料の利用が手軽ですが、自分で調製するには1リットルの水、ティースプーン半分の食塩(1~2g)と角砂糖を好みに応じて数個溶かしてつくることもできます。

また、糖を含んだ飲料が推奨される理由としては、腸管での水分吸収を促進するため。

主要な糖であるブドウ糖は、腸管内で塩分(ナトリウム)が同時にあると速やかに吸収されます。

そしてそれらに引っ張られ水分も吸収されるというメカニズムです。

熱中症対策に適した飲料

では実際に熱中症対策・熱中症になった時には何で水分を補うのがいいのでしょうか。

具体的にいくつか挙げているので見ていきましょう。

冷たい味噌汁
味噌汁は水分に加えて塩分も一緒に摂取できるため熱中症対策に適しています。

汗と一緒に流れてしまうミネラルやビタミンなどの補給も可能です。

また、味噌汁を食べると豆腐や油揚げなどの具も摂取できます。

豆腐に含まれるタンパク質などによって栄養補給ができるため体力の低下も防げるので食事の際には積極的に取り入れたいメニューです。

しかし、暑い夏は温かい味噌汁を飲みたくないという人も少なくありません。

そこで、冷たい味噌汁や冷や汁であれば、暑い季節でもさっぱりと飲めるためおすすめです。

スポーツドリンク
スポーツドリンクには、糖類・クエン酸・ナトリウム・カリウム・マグネシウムなど、多くの栄養素が含まれおり、中でもクエン酸は、運動によって蓄積される乳酸を分解します。

そのため、スポーツドリンクは水分と塩分の摂取に加え、疲労回復にも効果のある飲み物といえるでしょう。

ただし、スポーツドリンクを飲み過ぎると糖分の過剰摂取となり肥満や虫歯になるリスクがあります。

通常の水分補給にはスポーツドリンクで十分ですが、脱水症状や下痢の症状がある場合は経
口補水液がおすすめです。

経口補水液
脱水症状になりそうな場合や熱中症の症状が出ている場合は経口補水液を活用しましょう。

水分と糖質をバランスよく含む経口補水液を飲むとすぐに体内に水分が行き渡るためです。

経口補水液には、糖質・食物繊維・ナトリウム・カリウムなどが含まれていますよ。

そのため水分等が枯渇している身体にはぴったりの飲料です。

経口補水液とは…
経口補水液は脱水症を治療するために開発されました。

飲む点滴」とも言われ、その名の通り飲んでから体に吸収されるスピードが早いのが特徴です。

水分吸収が行われる小腸までいかに速く到達できるかが計算された成分になっています。

もともとは、脱水症で亡くなる子ども達が多かったアフリカ、東南アジアで生まれた考え方で、日本の医療現場では「点滴と同等の効果があり、点滴よりも使いやすい」と、15~20年ぐらい前から使われるようになりました。

ただ、経口補水液は普段飲みには向きません。

ほかのスポーツドリンク等に比べ多くの塩分が含まれているためです。

手軽に変えおいしく飲めるとスポーツドリンクの要領で普段飲みすると、高血圧や心臓・腎臓病の原因にもなるので気をつけましょう。

熱中症に適さない飲み物

熱中症の予防には適さない飲み物も多く存在します。

下記の飲み物は、飲み過ぎると反対に脱水症状が起きる恐れがあるため注意が必要です。

アルコール
アルコールは利尿作用があるため、摂取することによってトイレの回数が増えます。

そのためアルコールは飲んだ分以上の水分を排出してしまうのです。

また、夏場に人気の冷えたビールやハイボールなどのアルコールの摂取は自律神経を刺激する為、特に尿意を感じやすくなります。

「暑くて体調が悪い」、「暑い所にいてのどが渇いたから」と言って、アルコールで水分補給をするのはやめましょう。

コーヒー・ジュース・お茶
コーヒーやお茶にはカフェインが含まれています。

カフェインにもアルコール同様、利尿作用があり飲んだ分以上の水分が尿として排出され、脱水状態になる可能性があるのです。

コーヒーやお茶は大量に飲まなければ水分補給になるので、休憩時の嗜好品として楽しむ程度にしましょう。

また、甘いジュースには大量の糖分が含まれています。

水分補給として大量に飲むと糖分の過剰摂取に…。

糖分の摂りすぎは別の病気の原因となる可能性もあるため、熱中症対策の水分補給には適しません。

牛乳
牛乳も熱中症対策には適しません。

牛乳には体温を上げる性質があるため、暑いときに飲むと多くの汗をかいてしまうことが考えられるからです。

また、体質によっては牛乳を水分補給として大量に飲むことで消化不良を起こし下痢になるケースもあります。

下痢になると脱水症状を引き起こす可能性が高まるため、牛乳を飲むと腹痛や下痢を起こしやすい人は特に注意が必要です。

熱中症対策に適した食べ物

暑い日は食欲がなく、冷たい麺類、サラダなどあっさりしたものしか食べられなくなるという方も多いでしょう。

しかし、暑い日は自分では気が付かないほど多くの汗をかき、体力やエネルギーを消耗しているもの。

発汗によって失われた水分や電解質を補うのはもちろんのこと、暑さに打ち勝つ体力をつけるにはしっかりと栄養補給をすることが大切です。

まずは、暑い日に摂りたいおすすめの栄養素をご紹介します。

熱中症対策におすすめの栄養素

ナトリウム・カリウム
私たちの身体は排泄、汗などをすべて含めると一日に約2.5Lもの水分を失うとお伝えしました。

また、暑い日はたくさん汗をかくため、さらに多くの水分を失っています。

汗には水分だけでなく体内から排出されたナトリウムやカリウムなどの電解質が多く含んでおり、汗をかけばかくほど身体の中からは電解質が失われていくのです。

電解質が不足すると筋肉の収縮運動に異常が生じてこむら返りが起こりやすくなるなど、熱中症に特徴的な症状を引き起こすこととなります。

体内では電解質を作り出すことができないため、汗で失われた分の電解質は食べ物や飲み物から補いましょう。

糖質
暑い日は特別な運動をしていなくてもエネルギーや体力を消耗するものです。

エネルギー不足になると暑さに打ち勝つことができず夏バテしてしまい、熱中症にもなりやすくなります。

暑さに負けない身体を作るには、炭水化物や糖分などエネルギーの源となる栄養素を積極的に摂るようにしましょう。

ただし、過剰な摂取は肥満や糖尿病の原因になる可能性もあるので、適量にとどめるよう注意してくださいね。

ビタミンB1
先述の通り、暑い日は体力を消耗しやすいため、疲労回復効果のある栄養素を取ることが大切です。

特にビタミンB1は疲労回復効果が高いだけでなく、糖質の代謝を促してエネルギーを産生させやすくしたり、イライラを抑えたりする働きもあるとされています。

また、ビタミンB1はにんにくや玉ねぎ、にらなどに含まれるアリシンと呼ばれる栄養素と一緒に摂取すると吸収が高まるとされているので、食べ合わせにも気を付けてみるとよいでしょう。

熱中症対策に適した食材

熱中症を予防するには様々な栄養素が必要です。

また、それぞれの栄養素は食べ合わせに注意することで吸収がアップするものも多いため、それらを効率的に摂れるメニューを考えるとよいでしょう。

では、具体的にどのような食べ物や食材に熱中症を予防する栄養素が多く含まれているのか見てみましょう。

豚肉
豚肉はビタミンB1の宝庫です。

糖質をエネルギーに変える働きがあるため、暑さによる疲労感や倦怠感を軽減する効果が期待できます。

また、筋力の低下を予防するたんぱく質も多く含むため、運動不足になりがちな暑い時期には特におすすめの食材です。

冷しゃぶにすれば、サラダや麺類にのせてサッパリといただくことができます。

他にも夏野菜と組み合わせることで様々な調理方法がありますね。

納豆
納豆はビタミンB1を多く含むだけでなく、発汗によって失われたカリウムなどの電解質も多く含みます。

火を使わずにすぐ食べられるので暑い日の栄養補給にはぴったりと言えるでしょう。

納豆は山芋やオクラなどのねばねば食材と一緒に食べるのが◯

後述のモロヘイヤとも相性ピッタリでそうめんなどにかけるとツルツルっと食が進みます。

ぬか漬け
ぬかにはビタミンB1を多く含まれているため、野菜のぬか漬けにも多くのビタミンB1が凝縮されています。

また、乳酸菌の宝庫でもあるため腸内環境を整える効果も。

食欲がないときはお好みの野菜をぬか漬けにしていただきましょう。

塩分も適量含まれるので、汗で失われた電解質も一緒に補給することもできます。

モロヘイヤ
暑い時期が旬のモロヘイヤは栄養素が非常に高い野菜の一つです。

モロヘイヤにはカリウムが非常に多く含まれているため、発汗によって失われた電解質を補給することができます。

茹でてポン酢やめんつゆをかけたお浸しにするとおいしいですよ。

また、塩分補給におすすめなみそ汁の具としてもおすすめです。

ウナギ
昔から夏バテ予防に良い「スタミナ食材」として重宝されてきたウナギ。

豊富なビタミンB1のほか、紫外線の刺激によって生じる活性酸素に対抗するビタミンAやビタミンCも含んでいます。

特に暑い日や屋外で運動・仕事をした日にはウナギ料理で回復を計るのがおすすめです。

熱中症対策におすすめの服装

熱中症対策として注意したいポイントが汗を吸ってくれる「吸水性」と、吸った汗を素早く乾かしてくれる「速乾性」。

具体的には、綿・麻・ポリエステルなどが挙げられます。

吸水性、速乾性に関しては化学繊維であるポリエステルの効果が高いです。

ただ、化学繊維は苦手…という方もいると思うので、その場合は綿や麻を選ぶのがおすすめ。

また洋服は素材だけではなく形も大切です。

ピタッとした服は、服と体の間を風が通らないので熱がこもりやすくなるので、ゆったりとした服を着るのがいいでしょう。

袖口も細身のものより、ふわっとしている形状の方が風が入りやすいですし、襟ぐりも詰まっているものよりは開いている方が良いです。

色は、断然、熱を吸収しにくい白や淡い色の洋服がおすすめ。

黒など濃い色ほど熱を吸収し、熱がどんどんこもってしまいます。

ただ、紫外線対策としては黒など濃い色の方が効果があるため活動する場所や時間帯によって選ぶといいでしょう。

他にも吸水性や速乾性の高い肌着を着ることも熱中症対策になります。

重ね着をすることで暑くなると思われがちですが、汗の蒸発を助けてくれるので肌着はできるだけ着用するようにしましょう。

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汗ふきは乾いたタオルより濡れタオルがいい!?

夏は毎日多くの汗をかきます。

汗をかいたまま放置するとあせも等の皮膚トラブルや汗冷えで体調を崩すことが…。

そうならないためにも汗は定期的に拭くことが大事ですが、乾いたタオルで肌を拭いている人が多いように思います。

実はそれ熱中症のリスクを高めているのをご存じですか?

というのも、私たちの身体は汗をかくことで体温を下げる仕組みを持っており、汗が身体から熱を奪って外に出してくれることで体温を下げています。

液体が蒸発して気体になる時に周囲から吸収する熱の事を「気化熱」といい、体温を下げるには気化熱を奪ってくれる汗が必要です。

乾いたタオルで汗を拭くと、皮膚の必要以上の水分が吸い取られなくなってしまいます。

すると、気化熱が生まれにくくなり体温も下がらず、熱中症のリスクが上がるのです。

逆に濡れたタオルで汗を拭けば皮膚に水分が残り、気化熱がしっかりと放出され体温を下げることができます。

もし手元に濡れタオルが無い場合は、ウエットティッシュや制汗シートでも代用できますよ。

濡れタオルは体臭対策にもなる

乾いたタオルで汗を拭くと水分は取れますが、ニオイの元になるような雑菌や皮脂は皮膚に残ります。

それを放置しておくと嫌な体臭が出ることも…。


一方濡れたタオルは皮膚の雑菌や皮脂を絡み取る力が強いので、ニオイの元もきれいに拭き取ってくれます。

濡れたタオルで汗を拭くことは熱中症だけでなく嫌な体臭を予防できることがわかりました。

外出時やスポーツをする時は、濡れたタオルやウエットティッシュを常備しておきたいですね。

まとめ

今回は熱中症対策についてご紹介しました。

食べ物や飲み物、服装と様々な方法で対策ができるので自分の生活に合った方法を見つけてください。

これからも暑い日々が続きますが、こまめな水分補給を忘れず、健康に過ごしましょう!

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