皆さんこんにちは!
突然ですが皆さんの中にクリーニング店で撥水加工をされたことがある方はいらっしゃいますか?
撥水ってよく聞くけど実際は何をしているか、よくわからない人も多いのではないでしょうか。
今回は当社も行っている加工、「撥水」の説明をしていきたいと思います。
防水や市販のスプレーとの違いにも触れるので気になる方は必見です!
撥水加工とは
「そもそもクリーニング店の撥水加工って何をしてるの?」なんて方も多いと思います。
なので最初に撥水加工について説明していきます。
クリーニング店の撥水加工は洗濯した後の衣服の表面に水を弾く成分を付着させ、コーティングしているのです。
衣服に水が触れた時、水分が染み込まず丸い玉になってコロコロと表面を転がり落ちていくのを見たことがある人も多いのではないでしょうか。
また、撥水加工には水を弾くだけでなく、防汚効果もあり水以外にも食べこぼしや泥はね、花粉や埃も付着しにくくすることができます。
ですが、撥水加工は永久に続くものではなく、摩擦や洗濯によって効果が減少していくので注意しましょう。
適切な効果を発揮することができる期間は、一般的にワンシーズン程度といわれています。
撥水効果を確認するためには、弾かれた水の形を見るといいでしょう。
生地の上にできた水の玉が丸く立体的であれば、撥水効果が高い状態を表しています。
逆に効果が低下していると、玉がつぶれたような感じに…。
効果が低下したと感じたり、洗濯をした後は再度撥水加工することをおすすめします。
撥水加工で使われているコーティング剤はシリコン系樹脂やフッ素系樹脂が主流です。
コーティングすることで、生地表面に「撥水基(はっすいき)」と呼ばれる無数の小さな突起物ができます。
その突起物は水の分子よりも細かいため、生地の内部に水が入り込めなくなるのです。
クリーニング店が行う撥水加工は、市販の撥水スプレーより強力で、水をより弾きやすい特別仕様のコーティング剤を使用しています。
また、特別な機械を用いることで、衣服全体にムラなくコーティングした後、熱処理を加えて撥水成分を強く定着させるので、撥水効果が長持ちします。
ただし、水を弾き、汚れや色落ちも防げるからと頻繁に撥水加工してしまうと、逆に薬剤によって生地がダメージを受け、傷んでしまうこともあります。
撥水のメリット
クリーニング店で撥水加工を施すと水を弾くだけでなく、他にもメリットがあります。
汚れに強くなる…
撥水加工は水を弾くだけでなく様々な汚れも一緒に弾くため、汚れを未然に防ぐことができます。
汚れといっても水溶性や油性など様々な種類があり、汚れの原因が分かれば対策しやすいですが、時間が経過したシミを落とすのは難しいです。
特に、コーヒーやソースなどは汚れを落としにくく、1回洗濯しても落ちないことも多々あります。
日常生活のふとした瞬間にシミはできてしまい、小さい子どもがいるご家庭などでは、食べこぼしによるシミは日常茶飯事でしょう。
お気に入りの衣服はできるだけ長く綺麗に着たいもの。
事前に撥水加工を施す事で汚れにくくなり、汚してしまっても重症化を防いだり、簡単に汚れを落とすことができるので雨の日以外でも、日常的に撥水加工しておくことがおすすめです。
服の縮みやシワを防ぐ
服の縮みやシワを防ぐ…
撥水加工では服の縮みやシワなども防ぐことが可能できます。
なぜなら撥水加工をすることで、洗濯の回数が減り、衣類の縮みを防げるためです。着るたびに洗濯をすると服が縮む原因になります。衣類が縮むのは、素材の持つ特性が一因で、特に綿やウール素材の衣類は縮みやすく、洗濯をするときには細心の注意が必要です。洗濯の回数が減ることで、洗濯をしたときにできてしまう「洗濯ジワ」が発生する回数を減らすこともできます。
防カビ効果もある
防カビ効果がある…
単に洋服が濡れるのを防ぐだけではなく、水分が染み込むことによって起きるカビの発生を防ぐ効果も撥水加工にはあるのです!
衣類にカビができる原因には、「湿度」「温度」「栄養」が深く関係しています。衣服の表面をコーティングすることで、衣類につくカビの栄養源である雨などの染み込んだ水分や、「汗」「皮脂」「食べこぼし」などが入り込めないため、カビが発生しにくくなるのです。
撥水のデメリット
撥水の効果や良い点についてはわかっていただけたと思います。
撥水は確かに良いところは多いですが、残念ながらデメリットも存在します。
なので次はデメリットについて焦点を当てていきましょう。
水を完全に防ぐわけではない…
あくまで撥水は水を弾くのであって完全防水ではありません。
先ほどもお話しした通り繊維に隙間がある状態なので、時間が経つと水分が内部に染み込んできてしまいます。
また、油分を多く含む汚れにも弱いです。
食べこぼしなどの汚れにも効果があるといっても、油がすごい食べ物の汚れは防ぐことができません。
撥油効果のある加工剤もありますが、それも完璧ではないので過信は禁物です!
効果が永久に続くわけではない…
どんなに腕のいい職人さんがいい加工剤を使ったとしても効果は永続ではありません。
一般的に撥水の効果はワンシーズン程度です。頻繁に着るスーツなどはもっと効果が下がりがちなのでワンシーズンに2~3回程度撥水加工してあげるといいでしょう。
吸水性が下がる…
「撥水は水を弾くからいいことでは?」と思った方も多いでしょう。
ですが、吸水性が下がるということは汗も吸ってくれなくなります。
元々、衣類は汗を吸って早く蒸発するのを手伝ってくれる効果を持っています。
なので直接肌に触れることが多い肌着やシャツ類には撥水はおすすめできません。
また、子供は汗をかきやすいので子供服は吸水性が高いものが多いですが、汚れ防止だからと言って何でも撥水加工を付けてしまうと、汗を吸わず却って不快感が出てしまうかもしれません。
防水との違い
次に混合されがちな「防水」との違いを解説していこうと思います。
一言で言ってしまえば、防水が「水の浸入を防ぐこと」で、撥水は「水を弾くこと」です。
「防水加工」とは、別名「目詰まり加工」とも呼ばれます。
繊維の隙間を埋めるようにゴムやシリコン樹脂などを生地に塗ったもので、水を全く通しません。
ただし、隙間が無い分、空気・湿気も通さなくなるので、汗をかいたり、湿気が多かったりするとジメジメして蒸れてしまいがちです。
「撥水加工」は、繊維の表面に水より圧倒的に表面張力が小さい物質(シリコンやフッ素などの樹脂)をコーティングすることにより、生地全体で水を弾くようにしたものです。
繊維同士の隙間は開いたままなので、通気性が保たれ、生地の風合いもほぼ変わりません。
ただし、隙間が開いているので大雨など水分量が多いと水が浸透してしまうことも…。
市販のスプレーとの違い
さて、ここまでクリーニング店の撥水加工についてお話してきましたが、次は市販の撥水スプレーに注目していきましょう。
市販の撥水スプレーは、スプレーを噴霧することで撥水効果を与えます。
革靴や傘、衣服などにあらかじめスプレーしておけば、雨や雪が降っても、水を弾いてくれるので安心です。
また、フッ素系樹脂のスプレーであれば水分だけでなく、油性液体もはじくため、油汚れが付いても、さっと拭くだけで汚れを落とすことができるのでお手入れが楽チンになります♪
市販の撥水スプレーは噴霧した後すぐに効果が出るわけではなく、ある程度時間が経過しないと効果が表れません。
そのため衣服を着用する前にあらかじめスプレーしておく必要があります。
さらに、人体に有害な物質を含んでいるものもあるので、屋外や通気性がよい場所で噴霧するようにしましょう。
吸い込むと、呼吸困難や頭痛、吐き気などの症状が出ることもあるので注意が必要です。
最近では撥水だけでなく「防汚」と表示されている製品もあり、スポーツウェア、アウトドア用品衣類、レインウェア、寝袋などにも使うことができます。
吹きかけるだけで効果を得られるのでアウトドアなどが好きな方は一本持っておくと重宝します。
撥水スプレーは、繊維を1本ずつコーティングすることで、生地を水分や汚れから守る効果があります。
ですが、市販の撥水スプレーはクリーニング店の撥水加工に比べ、フッ素系樹脂の分子が大きいため撥水効果は低いです。
クリーニング店ではコーティング剤をコーティングした後熱処理を行いますが、家庭では難しいため、撥水成分が繊維に馴染みにくくなってしまう点もデメリットと言えるでしょう。
また、大人用コート1着に撥水効果を持たせようとすると、コーティング剤は60~70ml必要です。
満足のいく撥水効果を得る為には少量スプレーを1回で1缶使いきらないといけないなんてことも…。
「もったいないから軽くスプレーしよ~」ではダメなのです。
ですが、しっとり濡れる程度にコート全体に均等にスプレーするのも中々骨が折れる作業ですよね。
しかも、均等にではなく1ヵ所に溶剤がたまるとシミの原因にもなります。
安いからという理由だけで撥水スプレーを使うより効果や持続性、時間的コストなど総合的に考えるとクリーニング店の撥水加工を利用する方が賢い選択といえますね。
まとめ
衣類を長く大切に着たい方は、着る前に撥水加工を行うことで雨や湿気に強くなり、汚れもつきにくくなるので衣類が長持ちします。
スーツなどはクリーニングで撥水加工すると、パリッと仕上がり、着心地だけでなく印象アップ効果も♪
また、アウターやスーツだけではなく食べこぼしによるシミができやすい子供のおしゃれ着などにも撥水加工しておくと安心ですね!
クリーニング店の撥水加工は、衣服の表面の水を弾くだけでなく、汚れやカビも付きにくくしてくれます。
1回撥水加工をすると効果が長続きするのもうれしいポイント。
さらに、色落ち防止や通気性を保つ効果もあり良いこと尽くめです。
ただ、忘れてはならないのは撥水効果は永久ではありません。
定期的に撥水加工することで効果を保つことができます。
また、よく着る服は擦れることで効果が薄れてしまうため、ポケット周りや袖口など擦れやすい部分には、自分で撥水スプレーをするのも効果的です。
「撥水」をうまく活用して、お気に入りの衣服を長持ちさせましょう!