シミ抜きの鉄則はなるべく早く落とすこと!
ですが、なぜシミは付いてしまったらなるべく早く落とさなければいけないのでしょうか?
今回はそんなシミについての疑問と外出先でもできる応急処置についてご紹介します。
汚れとシミの違い
「汚れ」とは付いてすぐの状態で、通常の洗濯またはクリーニングで簡単に落ちるものです。
また、面積が広い場合に汚れと言われることもあります。
対して「シミ」とは洗って落ちない程度以上に繊維と結合したもので、通常の洗濯では落ちきれない汚れをいいます。
シミの構造
次はシミが時間経過によってどう変化していくのかを図を使って解説していきたいと思います。
イラストは「食べこぼしのシミ」がどのように衣類に付着しているかを構造化したものです。
一番上は比重の軽い層で、下に行くほど比重が重い成分の層になるため、一番上を破壊しないと、下の層にはたどり着けない構造となります。
水溶性の汚れ、色素などを油溶性のシミが覆っている状態ですね。
上の層のシミを完全に取り除く前に、下の層に対するシミ抜きをしてしまうと、取り切れていない上の層のシミが酸化して余計に取れなくなるため注意が必要です!
シミが付いた初期は「汚れ」の状態で、通常のクリーニングで洗い落とすことができます。
油溶性の汚れはドライクリーニング、水溶性の汚れは水洗いを行います。
この状態は洗濯のみ、もしくは洗濯の前処理程度で落とすことができ、ご家庭でも落としやすいです。
シミは繊維の奥に入り込んで落ちにくくなっています。
この状態は洗濯のみ、洗濯前の前処理ではなかなか落とすことができません。
クリーニング店では、繊維の特性などを見ながら油溶性の汚れを取り除いた後、水溶性の汚れ・色素を取り除いていきます。
何のシミかが分かり、上記の対処をすればご家庭でもシミ抜き可能な範囲ですが、注意点もあるため、大事なお洋服などはプロへ任せることをおすすめします。
シミ抜きでは落ちない変色したシミは漂白をします。
この段階になると、クリーニング店でもより専門性の高い技術が必要になってきますので、ご家庭でのシミ抜きは難しいです。
汚れが繊維を壊してしまっている状態です。
この段階になると、繊維の染色が壊れてしまっているので、シミを取り除いても元の状態にはなりません。
人でいう外科手術なので、傷跡(脱色や毛羽立ち)が残る可能性もあります。
シミ抜き代金、染色補正代金などがかかり、料金も高額になってしまいます。
これってなんのシミ?シミの種類の見分け方
時間が経つと、そのシミがなんのシミか分からなくなってしまうことも…。
そんな時、水溶性か油溶性か簡単に見分ける方法がありますのでご紹介します。
見た目で区別する場合
水溶性のシミ:綿の生地では、水が染み込む事により繊維が水を含んで膨らみくっきりと生地と水シミの境目ができる。
くっきりとにじんでいで、濃色の場合は色も濃く見える。
油溶性のシミ:縦横に油が走り、線が入っているようにみえるもの。
不溶性のシミ:輪郭がぼんやりしているもの。
※原因不明のシミは光に透かして形を確認しどのタイプか見分けるとよいでしょう。
見た目で分からない場合
シミの上に霧吹きで軽く水を吹きかけてみる。
水溶性のシミ:汚れがにじみ広がったり、黒々と際立って浮き出す
油溶性のシミ:にじんだり薄くならない
シミを落とすには、いわゆる洗濯(クリーニング)とは別の方法で行われ、汚れを落とすうえでのメカニズムも異なります。
病院に例えると、通常のクリーニングは「内科」で、シミ抜きは「外科」というようなイメージです。
シミは時間が経つごとに状態を悪化させ、繊維を傷つけていきます。
悪性の腫瘍のようなものなので、早めの適切な処置が必要です。
また、シミ抜きは正しい知識と正しい手順を要する技術が必要になります。
時間が経って落ちにくくなった頑固なシミや、ご家庭でのシミ抜きに不安を感じたら、自力でシミ抜きしようとせず、すぐにクリーニング店へ持ち込むことおすすめします。
応急処置 ~その場でできること〜
「あ、シミ…」
外出先で付いてしまった衣類のシミ、「落ちるかな…」といった経験はございませんか?
シミは種類により、落とし方が異なります。
続いては外出してシミが付いたときの応急処置を紹介します。
これで正解?そのおしぼり、待って!
飲食店でうっかりシミをつけてしまった際に、手元にあるおしぼりでゴシゴシこする、
時々見かける光景ですよね。
してしまいがちな行為ですが…実はNGです。
ゴシゴシこすることでシミを広げてしまうことも…。
さらに、飲食店などで使用されるおしぼりは塩素系漂白剤が使用されていることが多く、漂白成分が溶け出すことで大切な衣類を傷めてしまう可能性があります。
付いてしまったらなるべく早く、慌てず、正しい応急処置をしましょう。
シミが付いてしまった衣類の応急処置
シミは大きく分けて「水溶性」「油溶性」「不溶性」の3種類があります。
今回は飲食時に付きやすいシミに着目してみます。
応急処置の際の注意点
・この応急処置法は水や石けんで落ちやすいタイプのシミ、ご家庭で洗える衣類に限られる
・輪ジミを防ぐため、シミの外側から内側に向かって押さえる
・ティッシュペーパーを水で湿らせる際、水分が多すぎるとシミを広げてしまうので注意
「水溶性」のシミ
例)醤油・ソース・ケチャップ・コーヒー(ミルクなし)・紅茶・お茶・ジュース・お酒・ワインなど
用意するもの
・水
・ティッシュペーパー(紙ナプキン・ハンカチでも代用可)
″付いてすぐ″その場で水洗いをすればほとんどの汚れは落とすことができます!
飲食店の洗面所などが使える場合は、すぐに水で汚れを洗い流しましょう。
水洗いができない時は…
①シミの裏面に乾いたティッシュペーパーやハンカチをあてる
②表面から水を含ませたティッシュペーパーなどで押さえるようにシミを移し取る
裏面に当てたティッシュペーパーにシミを移すイメージです
③何度か繰り返した後に、新しい乾いたティッシュペーパーで水分をよく取る
「油溶性」のシミ
例)バター・生クリーム・チョコレート・食用油・ラー油など
※飲食時以外は、口紅・ファンデーション・ボールペン・朱肉・油性インク・機械油などが「油溶性」のシミにあたります
油汚れに「まず水」は厳禁。
その場ではシミを広げないように、ティッシュペーパーや乾いたハンカチで軽く汚れを取る程度に留めておくほうが無難です。
「混合性」のシミ
例)ドレッシング・ラーメンのスープ・焼き肉のたれ・パスタソース・ミートソース・ケチャップ・カレー・牛乳・アイスクリームなど
食べこぼしのシミで、「水溶性」・「油溶性」どちらのシミも入ったものが混合性のシミです。
どれも飲食店でうっかり付けてしまうことが多いシミですよね。
「牛乳やアイスクリームも?」と思ってしまいがちですが、乳製品は「乳脂肪分」という ”あぶら” を含んでいるため混合性のシミとなります。
用意するもの
・水
・ハンドソープや石けん
・ティッシュペーパー(紙ナプキン、ハンカチでも代用可)
手順
①乾いたティッシュペーパーで油分をつまみ取る
油の汚れはいきなり水につけると落ちなくなります
②シミの裏面に別の乾いたティッシュペーパーやハンカチをあてる
③表面から少量の水で湿らせたティッシュペーパーなどに石けんやハンドソープを付け、シミになじませる
④湿らせたティッシュペーパーで、こすらず押さえるようにシミを移し取る
裏面に当てたティッシュペーパーにシミを移すイメージです
⑤別の湿らせたティッシュペーパーで石けんが残らないよう落とす
⑥乾いたティッシュペーパーで水分をよく取る
※外出先で石けんやハンドソープがない場合は、乾いたティッシュペーパーでつまんで油分を移し取るだけにしましょう。
まとめ
シミが付いてしまったら、まずは汚れのタイプを見極めることです。
水だけで落ちる汚れもありますが、油の汚れ、いろいろな汚れが混じった食べこぼしの汚れは初期対応も違います。
特に油の汚れは、いきなり水につけると落ちなくなってしまいます。
何の汚れかよく確認しましょう!
応急処置後、なるべく早くシミ抜きに取りかかることで大抵のシミは落とすことができます。
次回は、ご家庭でのシミ抜き方法をお伝えします。