虫食い被害を起こす衣料害虫と並び厄介な生き物「ダニ」…。
思わぬところにも潜んでおり、気づかないうちに健康被害を引き起こすこともあります。
ただ、意外とダニの事を知らない方も多いと思いますので、今回はダニの特徴や生態について解説していきます!
そもそもダニってどんな虫?
実はダニは昆虫ではなくクモやサソリの仲間なんです。
世界中のいたるところに生息し、その種類は50万種も存在すると考えられています。
こんなに多くの種類がありながら、その大半が目に見えないほど小さいです。
環境に適応する能力が非常に高く、特に高温多湿を好む種類が多いです。
温暖で多湿な人間の住む環境はダニにとっても快適というわけですね…。
繁殖に適する条件が重なると1件の住宅に150万匹のダニがいることもあります。
屋内に生息する種類は屋内塵性ダニ類と総称され、ヒョウヒダニ(チリダニ)類、コナダニ類、ツメダニ類です。
このうちアレルギーの原因となるのはヒョウヒダニが殆どになります。
種類:節足動物門鋏角亜門クモ綱ダニ目
生息地:極域から熱帯まで世界全域
体長:0.09~30㎜まで
ダニについてもっと詳しく知りたい方や実際の大きさが知りたい方はこちら
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ダニは大繁殖する
ダニ(ヒョウダニ)は人のフケや垢、汗などを餌としておりどんな家にも必ず生息しています。
中でも高温多湿になる梅雨期から爆発的に繁殖を始め、秋口までの長期間活動が活発です。
種類にもよりますが、5月から発生し6~9月迄が最盛期になります。
ダニが活動・繁殖する環境は気温20~30℃、湿度50~80%で、最適な環境は気温が25℃で湿度が60%と言われています。
ここだけ見ると気温が低く乾燥している冬季はダニが繁殖しないと思われがちですが、暖房や加湿器を使用することでダニの好む環境になってしまうため冬季でも注意は必要です。
また、ダニの繁殖力はすさまじく、好条件が重なるとたった1組の番から2か月の間に約3,000匹も生まれることもあるとか…。
産み付けられた卵は1か月ほどで成虫となり次々に繁殖を繰り返していきます。
しかも近年、住環境が良くなり気密性の高い住宅が増えたことで、ダニにとっても住みやすく、以前より多くのダニが家庭内に蔓延していると言われています。
そのため気温と湿気には注意する習慣をつけましょう。
ダニはどこから来るの?
気付かないうちに家に侵入して大繁殖しているダニですが、いったいどうやって侵入しているのでしょう?
結論から言うと人やペットを介して家に侵入しています。
ダニは無翅(むし:羽が無い)なので、空を飛んで移動することはありません。
しかし、屋外でダニの生息場所に近づいたり、バスや電車の座席、他の人の家の物に接触することで、身に着けている物やペットにくっつき家の中に持ち込まれてしまうのです。
また、新築の家だからダニがいないとも限りません。
家を建てる過程で人や家具を介入して持ち込まれている可能性があるためです。
外へ出る以上、ダニの侵入を完全に防ぐことはできないので、家の中でいかに繁殖させないかが大切になってきます。
普段は家のどこにいるの?
ダニは家の中でホコリがたまる場所には必ず生息しています。
例えば布団、枕、タタミ、カーペット、ぬいぐるみなどはダニのエサとなる人間のフケや垢、汗などが付きやすいものは要注意!
足元であれば、毛足の長いジュータンやカーペット、ヘリなどにゴミが溜まりがちな畳は隠れる場所も多いため定期的にきれいにすることが大事です。
また、フローリングの床であってもホコリが溜まりやすい継ぎ目などに生息している事があります。
家にいる代表的なダニ
家の中にいるダニの殆どは屋内塵性ダニの「ヒョウヒダニ」、「コナダニ」、「ツメダニ」の3種類です。
この3種類ほど数は多くないですが、「イエダニ」という種類も住宅に出て被害を引き起こすことがあります。
他にも屋外に生息し感染症を媒介する「マダニ」も脅威ですね。
ここではそんな5種類のダニの特徴を見ていきましょう。
ヒョウヒダニ(チリダニ)
ほぼ1年中見られるダニで絨毯や家具等に多く発生する。
人を刺すことはないが、大発生した際このダニの体や死骸、糞がアレルギー性疾患の原因(アレルゲン)となる。
温度20~30℃、湿度60~80%の間活発になり高温多湿を好む。
コナダニ
高温多湿を好み、繁殖力が極めて旺盛で梅雨時期、秋口に増殖するダニ。
人を刺すことはないが大発生するとコナダニを捕食するツメダニが増殖し、そのツメダニによる刺咬被害が出る可能性がある。
低温に強いコナダニの繁殖を抑えるには湿度を下げることが有効。
ツメダニ
コナダニと同じで梅雨時期、秋口に増殖するため、8~9月は特に被害が多い。
他のダニやチャタテムシ等を捕食するため、これらのエサになる虫が増えるとツメダニも多く発生する。
吸血しないが稀に人を刺し体液を吸うため、刺咬症の原因になることも。
イエダニ
ネズミや鳥に寄生する吸血性のダニ。
宿主のネズミが死んだ場合や、ネズミの巣内で大発生した場合等に、移動して人も吸血する。
暗い場所に潜んでおり、通常は夜間に吸血を行う。
5月ごろから発生し6~9月が発生の最盛期になるため、人への被害もこの時期に集中する。
マダニ
山や河川敷、公園、草地など屋外に生息している。
体長3~10㎜ほどで肉眼でも確認できる種類がある。
様々な感染症を媒介する恐れがあるため、刺されないように生息場所には近づかない、近づく際は露出を無くすことが大事。
もし刺された場合は速やかに医療機関に行き適切な処置を受ける必要がある。
ダニはアレルギーの原因
室内にいるダニの80%以上はヒョウヒダニと言われており、アレルギーの原因と言われています。
ヒョウヒダニのアレルギー陽性率(アレルギー検査で陽性を示す割合)は80%以上になるとも…。
またダニ本体だけでなく死骸やフンでもアレルギーを引き起こす可能性があるため厄介です。
これらが細かい粉末となって体内に侵入すると、喘息、皮膚炎、鼻炎、結膜炎など様々なアレルギー疾患の原因となる可能性があります。
他にも小児喘息では50~80%以上がダニアレルゲンが原因と言われているんだとか。
様々な方法で起きる症状
人を刺す…
ツメダニとイエダニは人を刺します。
ツメダニだと刺された瞬間はかゆみも腫れも無いですが、1~2日たつと赤くはれてかゆみが起こり、この症状が1週間ほど続きます。(遅延性のアレルギー皮膚炎)
刺されやすい箇所としては大腿部、上腕部の内側、腹腰部などに集中し、布団や畳などに接した側が被害を受けやすいです。
イエダニは通常ネズミに寄生していますが、ネズミが死ぬと寄生先を求めて人を吸血することがあります。
ネズミの死骸を見つけたときや、ネズミ駆除した後は部屋全体のダニ(イエダニ)もしっかりと駆除しましょう。
感染症を引き起こす…
マダニなど感染症を引き起こすことがある種類のダニも存在します。
主に屋外に居るマダニですがペットに寄生することがあり、そのまま気付かず住宅に侵入し被害に遭うケースが多いようです。
肉眼でも見える大型の種類で、人間が咬まれると日本紅斑熱、ライム病、SFTS(重症熱性血小板減少症候群)などの感染症を引き起こすことがあります。
まとめ
さて今回は家にいる厄介な相手「ダニ」についてご紹介しました。
目に見えないほど小さいことで駆除が難しいダニですが、放置してしまうと様々な健康被害を引き起こすことを知っていただけたかと思います。
しかも、住宅や暖房器具、加湿器などが充実してきたことで、本来活動が活発化しないはずの冬季でもダニ被害が増加しています。
そこで次回は家にいるダニの駆除や対策方法についてご紹介するのでお楽しみに!