日常

私たちの生活を支えるティッシュペーパー~その歴史や製造方法を解説~

私たちの生活に欠かせない日用品「ティッシュペーパー」。

特に今の時期は花粉症などで、毎日お世話になっているという方も多いでしょう。

そんな生活必需品ですが、「いつ頃生まれたのか」、「何からできているのか」意外と知られていないのではないでしょうか?

そこで今回はティッシュペーパーについてご紹介します!

ティッシュペーパーの歴史

様々な形態・色・絵柄・香りの商品がありバラエティにも富んでいるティッシュペーパー。値段も安価なものから高級品までそろっています。

起源はアメリカで、第一次世界大戦中のアメリカで外科手術用の脱脂綿の代用品として誕生しました。

普段の生活に欠かせない、ティッシュペーパーがアメリカで戦争時に発明された物だったなんて驚きですね!

第一次世界大戦終了後の1924年、大量に余ったティッシュペーパーをキンバリー・クラーク社がメイク落としに転用し「クリネックスティシュー」を発売すると女性の間で大ヒット!

その後「使い捨てハンカチ」という新しいコンセプトの広告展開によりティッシュペーパーは急速にアメリカ人の日常生活に浸透していきました。

そんなティッシュペーパーの日本上陸は1953年。

その後、1963年に山陽スコットが初の国産ティッシュ「スコット・トイレットティッシュ―74m(シングル)」を発売しました。

翌年には箱入りティッシュペーパーや持ち運べるタイプも登場し、「持ち運べるティッシュペーパー」としてポケットティッシュの起源に。

アメリカ製より割安だった国産商品は、CMの効果もあって一気に主婦の間で広まっていくことになります。

そして、後述するポケットティッシュの普及もあって、日本は世界トップクラスのティッシュ消費国になりました。

ポケットティッシュの歴史

ポケットティッシュの普及が始まったのは1970年頃。

きっかけは、富士銀行(現みずほ銀行)が口座開設者に粗品として20万個を配布したことがだと言われています。

1973年頃からは金融業界の販促品として活用が進みます。

消費者金融が街頭で「広告付きのポケットティッシュを無料配布する」という販促スタイルを生み出し、日本でのポケットティッシュ需要は急拡大しました。

駅前や店頭でのポケットティッシュの無料配布…いわゆる「ティッシュ配り」は日本独自の文化というわけです。

確かに、海外では無料でポケットティッシュを配っている光景は中々見かけませんよね。

こうしてポケットティッシュは日本人にとって「タダでもらえる物」となり、生活の中に浸透していきました。

最近のポケットティッシュ事情

販促品の定番であるポケットティッシュですが、ここ数年でもらう機会が少なくなったと感じませんか?

「今まではそんなことなかったけど、足りなくなってお店で買うようになった」という方もいるのではないでしょうか。

その理由は下のような事情があるからかもしれません…。

コロナ禍の影響で街頭配布は減少

2020年以降、新型コロナウィルス感染症対策の観点から、直接手渡しをするポケットティッシュ配布のような販促活動は自粛されるようになりました。

しかし、2023年5月に新型コロナウィル感染症が5類感染症へ移行したことを受け、様々な活動や営業が徐々に戻りつつあります。

街頭や店舗でのティッシュ配布が増えていくと良いですね。

ポケットティッシュの店頭価格は上昇

比較的安価で手軽に購入できるものだったポケットティッシュですが、昨今の物価上昇を受けて価格はかなり上昇しています。

2023年に入り、製造コストの上昇や円安を理由に、さまざまなメーカーが家庭用のトイレットペーパー、ティッシュペーパーなどの値上げを発表しました。

過去最大である20%の値上げに踏み切った大手メーカーもあり、スーパーやドラッグストアの店頭で「ペーパー類が高い!」と実感されている方も多いでしょう。

総務省の調査によると、ボックスティッシュ1パック(5箱)の全国平均価格は1年前と比べて約22%も上昇しています。

ティッシュペーパーにまつわる疑問

次はティッシュペーパーについてよく聞く疑問を見ていきましょう。

普段から何となく使っているティッシュペーパーですが、こうしてみると知らないことも多いかも…?

原料と製造方法

原料は主にパルプ植物繊維)です。

木材を細かいチップにしそれをパルプへ加工します。

できたパルプを薄く広げ、水分を取り除き乾燥させ、柔らかく薄いシートにした後、ティッシュのサイズにカットします。

細かい工程については記事の後半でご紹介します。

ティッシュが2枚重ねの理由

市販のティッシュのほとんどが2枚1組。

その理由は「強度を上げる・吸水性をよくする・手触りをよくする」という3つの理由のためです。

紙にはツルツルとした表面とザラザラとした裏面があり、ティッシュペーパーは裏面同士を内側にして2枚を重ねるように作られています。

そのためどこを触っても肌触りが良いんですね。

ティッシュとトイレットペーパーの違い

ティッシュペーパーは水を含んでもほぐれにくい性質を持っています。

そのためトイレに流してしまうとつまりの原因に…。

一方、トイレットペーパーは水に触れると繊維同士がほぐれてバラバラになります。

これは、「でんぷん」を使って繊維をほぐれやすくしている為なんですよ。

ティッシュペーパーの製造方法

普段からお世話になり、意外と知らないことも多かったティッシュペーパー。

では実際にどうやって作られているのでしょうか?

ここでは大王製紙さんのエリエールティシューができるまでの流れを例に見ていきましょう。

STEP1 原料(パルプ)の生産

クラフトパルプ

木片(チップ)から紙の原料となるパルプを生産します。

チップは、針葉樹と広葉樹の2種類があり、国内外から運ばれます。

次に連続蒸解釜という巨大な釜の中にチップと薬品を加えて170℃の高熱で処理。

この処理が終わると、クラフトパルプが完成!

このクラフトパルプがティッシュペーパーの原料になっていくんですね。

STEP2 原紙の生産(抄紙工程)

ジャンボロール

配合したパルプは長いパイプを通り、家庭紙の生産工程へ運ばれます。

そのパルプと水を混ぜたものを原料として紙を作っていきます。

作られた紙は抄紙機で巻き取られ、最大で直径3m重さ5tにもなるジャンボロールになります。

抄紙機とはパルプをシート状にして乾燥させたものを巻き取る器械です。

その後、プライマシンによって、抄紙機で生産された原紙を裏面同士を合わせて2枚重ねにして巻きなおします。

STEP3 包装・仕上げ工程

ティッシュペーパー製品幅のロールを、専用機械に並べて入れシートを順に折り込んでいき、紙を組み合わせてティッシュペーパーを作っていきます。

そして寸法を規定サイズにカットした後、1箱ずつカートンに詰め込まれていきます。

更に5箱1パックに包装されて、普段私たちが使っているティッシュペーパーの完成です!

参考:エリエールティシューができるまで(大王製紙株式会社)

まとめ

今回はティッシュペーパーについて見てきました。

歴史や作り方は、初めて知ることの連続だった方も多いのではないでしょうか?

私自身、ティッシュペーパーが植物、それも木からできているということを初めて知り驚きでした。

最近では、原料高や円安でティッシュペーパーの店頭価格が上昇しているため、その価値やありがたみが増したようにも感じます。

毎日に欠かせない、普段使いするアイテムだからこそ大事に使っていくことが大事ですね。

ページトップに戻る

十兵衛日記トップ

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: icon-152x152-1.png