じめっとして気だるく感じる日本の夏は、何かと体調を崩しがち。
特にこんな時期によく聞くのが食中毒です。
ではなぜ、夏に食中毒が流行るのでしょうか?
今回は夏に流行りがちな細菌性食中毒について詳しく見ていきましょう。
夏に細菌性の食中毒が多発する理由

どうして夏は細菌性の食中毒が流行りやすいのでしょうか?
まずはその理由から見ていきましょう。
気温が高い
食中毒菌は気温が高いほど活発になり増殖も進みます。
特に25~40℃の間は菌の繁殖が最も盛んになり、食材が一番傷みやすいです。
中でも生鮮食品は他に比べて傷みやすいので適切な保存方法を心掛ける必要があります。
湿度が高い
湿度が高い環境も食中毒菌の繁殖を助長します。
梅雨時期や台風シーズンなど、湿度が高い時期は特に注意が必要です。
夏に多発する細菌性食中毒の種類

食中毒は有害な微生物(細菌やウイルス)によって発症する病気です。
原因は大きく分けると4つ。
・細菌
・ウイルス
・寄生虫
・自然毒(毒キノコなど)
特に夏場は細菌が増殖する条件が整っているため、細菌性の食中毒が多くなります。
暑い時期によく見られる食中毒は次のようなものがあります。
黄色ブドウ球菌
主な原因食品:おにぎり、寿司、肉、卵、乳などの調理加工品および菓子類など
(加熱後に手作業を行う食品が原因になることが多い)
症状:吐き気、嘔吐、下痢など
潜伏期間:30分~6時間
サルモネラ
主な原因食品:鶏肉、卵、牛、豚などの肉類、乳製品など
症状:下痢、腹痛、発熱、脱水症状など
潜伏期間:5~72時間(平均12時間)
腸管出血性大腸菌O157
主な原因食品:牛肉、ハンバーグ、焼き肉、サラダなど
症状:下痢(血便あり)、腹痛、発熱、溶血性尿毒症症候群(HUS)など
※場合によっては死亡するケースもある
潜伏期間:3~8日
カンピロバクター
主な原因食品:鶏肉
特にレバーや砂肝などの内臓、生食や加熱不十分な状態のもの
症状:下痢、腹痛、発熱、吐き気、嘔吐、頭痛、悪寒、倦怠感など
※また、感染した数週間後に、「ギラン・バレー症候群」を発症することがある
潜伏期間:2~7日間
腸炎ビブリオ
主な原因食材:魚介類の刺身や寿司類等
症状:激しい腹痛、下痢、発熱、嘔吐
潜伏期間:8~24時間(短い場合で2,3時間)
食中毒予防の3原則

食中毒予防といっても実際には何を気を付ければよいのでしょうか?
実は食中毒予防には3原則があるのです。
3原則というと難しそうに聞こえますが、簡単に実践できることばかりなので、ぜひ生活の中で意識してみてください。
つけない
・食中毒の原因菌やウイルスを食べ物につけないよう、こまめに手を洗いましょう。
・包丁やまな板など、肉や魚を扱った調理器具は使用のたびに洗剤で洗い、できるだけ殺菌するようにしましょう。
・肉や魚の汁が他の食品に付着しないよう、保存や調理時に注意が必要です。
増やさない
・多くの細菌は10℃以下では増殖が遅くなり、-15℃以下では増殖が停止します。
・肉や魚、野菜などの生鮮食品やお総菜は、購入後できるだけ早く冷蔵庫に入れましょう。
やっつける
・ほとんどの細菌やウイルスは加熱によって死滅します。しっかり加熱してから食べましょう。
・特に肉料理は中心部までよく火を通し、中心部が75℃で1分以上加熱されることが目安です。
・ふきんやまな板、包丁などの調理器具にも、細菌やウイルスが付着しやすいため、使用後は洗剤で洗い、熱湯または台所用殺菌剤で殺菌しましょう。
食中毒を防ぐためのポイント

食中毒を防ぐには「つけない・増やさない・やっつける」がキーになります。
では次は3原則を実践するには具体的にどうしたらいいか見ていきましょう。
買い物
・消費期限の確認
・肉や魚などの生鮮食品や冷凍食品は最後に購入する
・肉や魚などは汁が他の食品につかないようビニール袋に入れる
・買った物から出た汁などが付着したビニール袋は破棄する
・どこかに寄ったりせず、早めに帰る
家庭での保存
・冷蔵や冷凍の必要な食品は持ち帰ったらすぐに冷蔵庫や冷凍庫に保管する
・肉や魚はビニール袋は容器に入れ、他の食品に肉汁などがかからないようにする
・肉、魚、卵などを取り扱う時は取り扱いの前後に手を洗う
・冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫は-15℃以下を保つ
・冷蔵庫や冷凍庫に詰め込み過ぎず、冷気の循環を妨げないようにする
下準備
・調理の前に石鹸で手を洗う
・野菜などの食材を流水で洗う(カット野菜も同様)
・生肉や魚の汁が、果物やサラダなど生で食べる物や調理済みの食品にかからないよう注意する
・生肉や生魚、卵を扱った後は必ず手を洗う
・包丁やまな板は肉用・魚用・野菜用に分けて使用する
・冷凍食品の解凍は冷蔵庫や電子レンジを使用し、自然解凍は避ける
・冷凍食品は必要な分だけ解凍し、冷凍と解凍を繰り返さない
・使用後のふきんやタオルは熱湯で煮沸し、しっかり乾燥させる
・調理器具は使用後によく洗い、熱湯または台所用殺菌剤などを使い殺菌する
調理
・調理前には手を洗う
・肉や魚は中心部まで十分に加熱する(75℃以上で1分以上が目安)
食事
・食事の前に石鹸で手を洗う
・清潔な食器を使用する
・作った料理は室温に長時間放置しない
残った食品
・残った食品を扱う前にも手を洗う
・清潔な容器に保存する
・温め直す際も十分に加熱する
・時間が経ち過ぎた食品は思い切って処分する
・ちょっとでもあやしいと思ったら食べすに捨てる
例:酸っぱいようなにおいがする、味が変わっている気がする
エコバックにも注意

エコバッグは、コンパクトにたためて持ち運びやすく、買い物に便利なエコなアイテムです。
しかし、目につく汚れやニオイがなくても、肉や魚の汁や野菜の土などが知らないうちに付着していることがあります。
そのまま使い続けると、食中毒菌が増殖し、新たに購入した食品に菌が移るおそれが…。
日頃から、次の点に注意してエコバッグを清潔に使いましょう。
エコバックを清潔に保つポイント
エコバックは定期的に洗う
頻繁に使用する場合は、乾きやすいポリエステルなどの素材がおすすめ
肉、魚、野菜はポリ袋に入れてからバッグへ
食品の汁や汚れがバッグに直接付着するのを避ける
冷たい食品と温かい食品は分けて入れる
冷蔵・冷凍食品などは一つの袋にまとめ、温かい食品と密着しないように入れましょう
食品と日用品のバッグは分けて使う
洗剤や雑貨などと食品が直接触れないよう、用途別にエコバッグを使い分ける
食品を入れたエコバッグは短時間で持ち帰る
長時間の持ち歩きは避け、購入後はできるだけ早く帰宅し、冷蔵・冷凍保存を行いましょう
まとめ

今回は暑い時期に注意したい細菌性食中毒について見てきました。
細菌が繁殖しやすいこの時期の食中毒は、お子様や高齢者だけでなく、誰でも発症してもおかしくありません。
食中毒が起きやすい気候はまだしばらく続きますが、買い物や調理で注意するのは勿論、手洗いなど普段からできる事をより一層意識して食中毒予防に努めましょう。