私たちの生活に欠かせない便利な家電のひとつに「電子レンジ」があります。
温める・解凍する・調理するなどとても重宝しますが、間違った使い方をすると爆発や火災などにつながる危険もあり取り扱いに注意が必要です。
「これってダメだったの!?」と焦った経験のある人もいるのではないでしょうか。
知らずに使用しているのは危険!
電子レンジNG行動を再確認してみましょう。
電子レンジの仕組み
そもそもなぜ電子レンジで食品を温めたり、調理したりすることができるのか疑問に思いませんか?
電子レンジは電磁波を利用して、食品を温めています。
電子レンジの内部には「マグネトロン」という部品が組み込まれていて、このマグネトロンの先端から電磁波が放出されます。
2,450メガヘルツ(MHz)という周波数で、1秒間に24億5000万回のスピードで振動!
この電磁波を「マイクロ波」と呼ぶこともあり、これが食品内部の水分を細かく振動させます。
それにより摩擦熱が生まれ、この熱が広がることで食品全体の温度が上がっていくのです。
これが電子レンジが食品を温める仕組みです。
「食品内部の水分を細かく振動させる…」
そのため、水分量が少ない食品などは電子レンジで温めることができないので気を付けましょう。
注意が必要な食品と、水分の少ない食材を温めるとどうなってしまうのかは、後ほどお伝えします。
電子レンジの使い方を誤ると…
電子レンジは火を使わないので、あまり危険なイメージがないと思っている人も多いようです。
過去に、ゆで卵の温めが危険と知らず、殻をむいた球体のまま温めたところ「バンッ」という大きな音とともに破裂し、電子レンジの中で卵が飛び散る…という失敗をしたことがあります。
球体のものは電子レンジNGであること、温める場合は切れ目を入れるなどして使用すること、みなさんご存知でしょうか?
また、お惣菜のパックを容器ごとそのまま温めた時に変形させてしまうことも時々あり、そのまま温めてもOKなものとの判断が難しいですね。
何でも電子レンジでチン♪というわけにはいかないようです…。
近年、電子レンジによる火災事故が増加傾向にあり、事故原因の多くは食品を必要以上に長い時間温めることによる加熱のしすぎや、電子レンジ不可の包装(アルミなど)を加熱するなど、誤った使い方によるもの。
電子レンジは”使い方を誤ると危険なもの”と思って使用することが大切ですね!
電子レンジ内の事故原因
電子レンジ内で爆発したり、火花が散ったりする原因のほとんどは次に当てはまります。
中にはうっかりやってしまいそうなものも…。
・長時間の加熱
・アルミホイルなどの金属を使用
・電子レンジ不可の容器などを使用
・吸気口・排気口を塞いでいる
・電子レンジ庫内の汚れ
・電子レンジの寿命
電子レンジNGな食材
電子レンジでそのまま温めると爆発・発火の危険がある食材もあります。
たまご…
電子レンジで温め不可の食材と言えばたまごですよね。
電子レンジの構造上、食品の内側から加熱されていくため、中心部の黄身が最初に沸騰。
殻や膜が内部の圧に耐えられず爆発的に破裂します。
また、レンジから取り出した時に破裂することもあり、ヤケドなどの怪我をしてしまうこともあります。
殻付きのたまご(生卵、ゆで卵、温泉卵)や、殻をむいた状態のゆでたまごも危険なので、電子レンジでの加熱は避けてください。
目玉焼きを温め直す時は、黄身まで火が通っていれば爆発の心配はありませんが、念の為、1〜3か所ほど穴を開けたり、切れ目を入れると安心です。
玉子焼きは温め直してもOK。
薄い皮や膜で覆われているもの…
加熱により中に水蒸気がたまって破裂する恐れがあります。
電子レンジを使用する際は長時間の加熱は避け、切り込みを入れたり、爪楊枝などで穴をあけるなどして水蒸気を逃がせるようにすることがポイントです。
具体例としては、ウインナー・ソーセージ・たらこ・明太子・ササミ・皮付き鶏肉・イカ・なす・おくら・トマト・銀杏・栗など…。
水分が少ない食材…
水分が少ない食材を加熱すると焦げたり、発火の危険があります。
さつまいもなどのいも類・にんじん・にんにく・ドライフルーツ(乾き物)などは要注意。
でも煮込む時に時間のかかるイモ類は電子レンジで下ごしらえすると時短になりますよね。
電子レンジを使用する際は、水をかけたり水に浸すなどして、水分が逃げないように加熱することで焦げや発火を防ぐことができるので安全に調理できます。
水分のない乾いた状態での加熱は避けてください!
電子レンジNGなもの
これからご紹介するものは電子レンジで使用すると、変形・爆発・発火などの危険があります。
ここでは電子レンジNGのものをご紹介します。
なぜNGなのか詳しい説明はのちほど!
アルミホイル…
電子レンジのマイクロ波がアルミホイルにあたると電磁波が反射して火花が飛び散る可能性があります。
お弁当のアルミカップや、クリスマスチキンなどの一部に付いているアルミなども注意が必要です。
金属容器…
アルミホイルと同様の理由から、ステンレス製やアルミ製の調理器具、金属容器は使用できません。
缶・ペットボトル…
先述の2つの通り缶は電子レンジNGです。
ペットボトルも加温OKのペットボトル以外は、変形や爆発、やけどの恐れがあるので電子レンジは使えません。
プラスチック製品…
電子レンジ非対応のプラスチック製品は耐熱温度が低いので溶けてしまう可能性があります。
スーパーのお惣菜など、長時間の加熱には注意しましょう。
紙製品…
紙コップや牛乳パックなど、紙は水分を含んでいるので熱を持ち発火する危険があり
木製の食器や漆器…
素材の中に水分が含まれていて、熱で膨張したり高温になるのでNGです。
※最近では電子レンジOKの製品もあるので、家庭にある木製の器をチェックしてみるといいでしょう。
ホーロー容器…
鋳物とガラスの層でできたホーローは電子レンジの電磁波を反射してしまうため、中のものが温まりません。
電子レンジ不可の容器を詳しく解説!
先述の通り、電子レンジは意外と温められない物が多いです。
食品の容器にもそのまま温められるものと、温められないものがあり知らないで温めると大変なことに…。
惣菜や冷凍食品、お弁当などの包装や容器はそれぞれ加熱方法が異なるので必ずパッケージなどの表記を確認しましょう。
金属製の容器…
金属でできた容器はマイクロ波を反射して、電子レンジにダメージを与える恐れがあります。
また、金属の表面には自由に動き回る電子がたくさん詰まっていて、この電子にマイクロ波が当たると、火花が発生したり、パチっという大きな音が出たりすることも…。
これを放電といい、金属が焦げたり、発火してしまったりするため、非常に危険です。
容器以外にも、装飾などで金属が使われているもの、金串や金網、ステンレス製やアルミ製の調理器具なども使用しないようにしましょう。
木製や紙製の容器…
竹や漆器など、木製の容器も電子レンジの使用は避けましょう。
自然由来の容器にはわずかに水分が残っていることがあり、容器そのものに含まれる水分が加熱されることで焦げたり、ヒビが入ったりすることがあります。
また、漆塗りなどは加工が剥がれてしまうことも…。
ただし、電子レンジOKなどの表記があるものは使用可能です。
陶器や絵付けされた磁器…
陶器は粘土が原料のため、細かい穴から煮汁や水洗いなどによる水を吸収します。
それにより、急激な温度上昇で内部の水分が膨張し、割れてしまうことがあるため、電子レンジの使用には向いていません。
一方、磁器は強度が高く、電子レンジの使用は問題ないとされていますが、絵付けの部分が劣化する可能性があります。
※金銀の模様が入っている場合は、金属製の容器と同様の理由から、電子レンジの使用は避けましょう。
ポリスチレン製の容器…
ポリスチレン(PS)は熱に弱く、電子レンジには不向きな素材です。
変形したり、溶けてしまったりすることがあるので注意しましょう。
一方、ポリプロピレン(PP)は耐熱性が高く、耐熱温度140℃以上のものは、電子レンジで使用しても問題ありません。
容器の底に素材や注意事項が表記されている場合があるので確認してみてくださいね。
ガラス製の容器…
ガラス製の容器には耐熱性と非耐熱性があり、非耐熱のガラスは急激な温度変化によって破裂してしまうことがあるため大変危険です。
クリスタルガラスやカットガラス、強化ガラスなども電子レンジには不向きなので注意しましょう。
電子レンジに使用できるのは基本耐熱ガラスのみです。
耐熱ガラスには表示義務があるので表示で判断することができますよ。
電子レンジを使う時の注意点
ここまで電子レンジ不可の食べ物や容器について見てきました。
ただ電子レンジを使う時には他にも気をつけないといけないことが…。
こんな点にも注意しましょう!
吸気口・排気口を塞いでいる…
電子レンジは側面や背面に吸気口や排気口があります。
上部・側面・背面に一定の空間を開けて設置するように定めているものが多く、壁に付けて設置すると熱が逃げ場を失い煙が出ることがあります。
また、電子レンジのまわりに物が置いてあったり、ホコリで吸気口や排気口が塞がれている場合も同様の現象が起こる可能性があります。
電子レンジのまわりは物を置かず、定期的に吸気口や排気口を掃除するようにしましょう。
電子レンジ内部の汚れ…
電子レンジ内は加熱することで食品の油や焦げなどがこびり付きやすく、汚れが付着したまま使用すると炭化し発火する恐れがあります。
また、汚れが付着したままでは加熱効率も悪くなるため、使用後はこまめに掃除をして汚れを残さないようにしましょう。
電子レンジの寿命の可能性があります…
電子レンジにはマグネトロンと呼ばれる磁電管が組み込まれていて、これは電子レンジの心臓部とも言えるため、故障すると加熱処理ができなくなります。
電子レンジが10年くらい持つと言われているのは、マグネトロンの寿命が10年ほどであることからのようです。
全体的に温まらない(一部が冷たいまま)、途中で動かなくなる、操作ボタンが作動しないなどの不調は、電子レンジの寿命が近いことを教えてくれています。
電子レンジを安全に使用するために
電子レンジ使用中は、異音や異臭に気づけるよう時々様子を見ながら、なるべくその場を離れないことが大切です。
・食材ごとの適切な加熱時間を守る
・電子レンジで加熱してもよい食材かを確認する
・電子レンジ対応の容器かを確認する
・吸気口や排気口を塞がないようにする
・電子レンジ内の汚れはこまめに掃除する
電子レンジ内で発火!こんな時どうしたらいい?
もし電子レンジ使用中に発火してしまったら…。
慌ててしてしまいがちですが、そんなときのため発火時の正しい対処法をお伝えします。
発火したときのNG行動
電子レンジの扉を開ける…
とっさに電子レンジの扉を開けようとしてしまいがちですが、庫内に空気が入り、さらに燃えてしまいます。
また、取り出そうとして洋服に火がついてしまうかもしれないため危険です。
着衣着火による死亡事故も発生していて、発火している電子レンジの扉を開けることは命に関わる危険な行為と認識しましょう。
着衣着火は下記をチェック!
水をかける…
熱いガラス面が急激に冷やされることで、ガラスが割れる恐れがあり危険です。
発火時の対処法
”その時”にあわてず行動するために、対処法を知っておくことは大切です!
①扉を開けずに電源を遮断する。
②扉を閉めたまま、あわてずに庫内の様子を見る。
③火が消えなければ扉を閉めたまま、消化器などの消火器具を用意する。
万が一火災が発生した時は、速やかに119番通報してください!
※対処法は東京消防庁HPより引用
まとめ
”電子レンジNGなもの・こと” みなさんどこまで知っていましたでしょうか?
電子レンジはとっても便利!
しかし、使い方を間違えるととても危険な家電です。
「これって電子レンジで加熱しても大丈夫?」と思ったら、確認してからの使用が安全です。
まずは発火させないことが大切ですが、万が一発火してしまった時は落ち着いて対処しましょう。
安心して使用するためにも電子レンジの注意事項を見直してみることをおすすめします。