日常

命を守る服〜あなたの防災バッグの中に衣類は入っていますか?〜

近年、地震や水害などの大きな災害が多いと感じます。

日本は地形・地質・気象条件などにより地震や火山噴火、台風が発生しやすく世界有数の災害大国と言われています。

そのため「いざという時のために、防災バッグを準備しましょう」と目に、耳にすることも増えました。

いつでも持ち出せるように備えている人も多いのではないでしょうか。

ですが、その中に…”衣類”は入っていますか?

これから高い確率で起こるとされている首都直下型地震や南海トラフ地震。

この地震に限らず、明日、自分の身近で起こるかもしれない災害に備えることで”その時”に役立つはずです。

被災時に重要な衣類の備え

避難所で生活するうえでは着替えが必要になり、衣類の備えがなければ着ていた服を着続けなければなりません。

ユニクロを運営するファーストリテイリングが2021年、全国2,400人の成人を対象に行なった調査によると、災害に備えて服を用意している人は15%、衣類を備蓄している市区町村も18%に留まったようです。

また、約400人の避難経験者の4人に1人が避難時に不足したものに衣類を挙げたそうです。

政府は被災地域で「自活のため最低でも3日間、可能な限り1週間分程度の備えなどへの理解を進めることにも取り組む」としています。

災害の規模によっては、救援・救助に遅れが生じる可能性がある上に、食糧や毛布の備えは進んでいるものの、災害に備えて衣類の備蓄をしている自治体は少ないです。

衣類などの支援物資が到着するまで3日〜1週間程度、到着しても希望のサイズやアイテムを確保できないこともある…そのため、各自が最低限の衣類を備えることが重要なのです。

防災グッズの中身

そこで、あなたの防災バッグの中に衣類は入っていますか?

防災グッズといえば…

・ 食料や飲料水などの非常食
・ ラジオ・懐中電灯・軍手・ホイッスルなどの危険回避グッズ
・ アルミブランケット・カイロ・雨具などの防寒グッズ
・ 常備薬・携帯トイレ・生理用品・トイレットペーパー・ウエットティッシュなどの生活用品

などが挙げられます。

ここで忘れられがちなのが”衣類”

2021年12月に国が公表した巨大地震の新たな被害想定によると「低体温症による死亡リスク」が初めて盛り込まれたようです。

真冬に大地震が起きたらどうなるのか…元日に能登半島を襲った地震の数日後に寒波の予報が出ました。

その際、多くの人が避難所での生活を強いられている中で「低体温症のリスク」を報道しているニュースが多かったように思います。

これは東日本大震災で津波から逃れられた先の避難所で「低体温症」によって命を落とす方が沢山いたことから、避難所でできる対策などが伝えられていました。

二次被害となってしまわないために普段からの備えでそのリスクを減らすことが大切です。

低体温症への備え

雨や津波などで濡れてしまった服のままでいることにより、徐々に体温が奪われていき、「低体温症」になってしまうおそれがあります。

「低体温症」とは、体の内部の温度が35度以下に低下した状態をいいます。

体温が下がり始めた時の体温調節は、主に体の震えと皮膚血管の収縮(鳥肌など)により行われます。

末梢血管が収縮し、体熱の放散を防ぐとともに、筋肉が震えることで体温を上昇させようと働くのです。

さらに低体温症が進行すると循環不全や意識の混濁をきたし、各臓器の機能も低下していってしまいます。

低体温症が原因で亡くなってしまうこともあり、乾いた衣類へ着替えることは命を守るためにとても重要なのです。

高齢者は特に注意!

高齢になると体温調節機能が低下しやすく、暑さや寒さを感じにくくなります。

体温調節がうまく働かないと、熱中症や低体温症のリスクが高まるため、避難所などでは、特に注意して見守ることが大切です。

また、もともと冷え性の方や、体力的な問題を抱える高齢者などは、夏でも低体温症の危険があります。

低体温症だけでなく衛生面や精神面に影響も

衣類が濡れてしまった場面だけでなく、同じものを着続けていると肌がかぶれたり、臭いが気になるといったトラブルも…。

たくさん汗をかく暑い時期は特に気になり、不快な状態でいると気持ちもすっきりしません。

また避難所は多くの人と同じ空間でいるため、人との距離を十分に取れずに様々なウイルスなどの汚れが衣類に付着する可能性があります。

そのため、衣類はできる限り清潔に保ちたいですね。

また、清潔感は気持ちを前向きにしてくれます。

非常時用に衣類を備えておくことでこれらのトラブルを少しでも減らすことができるのです。

準備する衣類内容

では実際にどのような衣類をどのくらい準備しておけばいいのでしょうか?

次からの内容を参考に計画を立てましょう。

靴下
エコノミークラス症候群を予防する着圧靴下もあると◎

エコノミー症候群とは

エコノミー症候群(静脈血栓塞栓症)は、避難所や車などの狭い空間に長時間同じ姿勢でいることで、血流が悪くなり血管内に血栓ができやすくなる症状の事です。

できた血栓が移動し肺の血管を塞ぐことで肺の機能を低下させ、場合によっては命の危険が生じる場合もあります。

下着・肌着
女性はカップ付きのものがおすすめ。

性犯罪・盗難など防犯の観点からも黒・グレー・ネイビーなどの目立ちにくい色がいいですよ。

靴下や下着・肌着は最低3日分を用意しておきましょう。

ジャージやスウェットなど
動きやすく、寝るにも作業するにも最適です。

半袖や長袖など季節に応じて準備しておきましょう。

最近では、旅行用やアウトドア用として軽量でコンパクトなものも販売されています。

速乾性があって年中使えるスポーツウエアは伸縮性(着心地)やコンパクトにまとまって嵩張らず、連日着用できるのでおすすめ。

室内履き
避難所を清潔に保つためにも土足で入らないようにしましょう。

室内履きを履くことで、ウイルスなどを持ち込まない、自分に付着させない効果があります。(感染症予防)

スリッパは床からの冷えた温度が伝わりやすいため、スポーツシューズなどの上履きを用意するといいでしょう。

羽織や防寒着(冬場)

この他、お子様や高齢者がいるご家庭は各々に応じた備えが必要です。

衣類を準備する際のポイント

・避難所での取り違えや、盗難のトラブルを防ぐため衣類の裏に名前を書く

・「抗菌防臭機能」がおすすめ
数日間洗濯できないことを想定し、ポリジン加工などの「抗菌防臭機能」があると◯

ポリジン加工とは、銀イオンの抗菌作用により繊維で繁殖する菌を抑え、嫌な臭いの発生を元から防いでくれる加工で、汗のニオイ対策になります。

・汗をかいた時や洗濯時に乾きやすい「速乾性」に優れたもの

・冬場は「発熱性」に優れた、あったかインナーなどを用意する

・衣類が濡れないようにチャック付きのビニール袋や衣類用の圧縮袋などを活用する
圧縮袋は衣類が水濡れするのを防ぐことができ、圧縮するためカビ等の発生も防ぐことができます。

コンパクトにまとめることもできるため、一石二鳥のアイテムです。

・季節の変わり目には非常用の衣類も入れ替えを行う
しっかり、季節のずれをチェックしましょう。

子供服はサイズアウトが早いので、お子様がいる家庭は子供服のサイズが合っているかのチェックも大切です。

これがあるとさらに役立つ便利なモノ・ワザをご紹介

実際に被災された方があって助かったもので紹介されていました。

ロングスカート(プリーツやフレアスカートなどの裾が広がるもの)
着替える場所がなく困った時に、上から被りスカートの中で服の上下を着替えることができます。

また、外でトイレをしなければいけない時の目隠しなど役立つ場面が多々あります。

おすすめ!
ワークマンの撥水ライトプリーツスカート/撥水ランダムプリーツスカート
 
右側にチャック付きのポケットが付いていて、スカートをコンパクトに畳んで持ち運べます。

軽くて動きやすく、高撥水加工がされているため、水がしみることなく弾いてくれる優れもの!

気になるお値段も1,900円とお手軽。

防災バッグにひとつ準備しておくと被災時になにかと重宝します!

ワークマン レディース撥水ライトプリーツスカート

ワークマン レディース撥水ランダムプリーツスカート

災害時の寒さ対策

停電などで暖房が使えないとき時の暖にも役立ちます!

防災グッズや衣類と一緒に用意しておくといいもの

マスク
避難所は密になりやすく、ソーシャルディスタンスを保つことが難しい場合が多いです。

特に地震が起きた際には建物の崩壊によりホコリなども舞っていたりと、普段より衛生状態が悪いことが予想されます。

また、寒い時期であればマスクをすることで口元を温めることもできるので、防災グッズの中に是非とも準備しておきましょう。

アルミシート・アルミホイル
アルミシートは羽織るだけで保温、防風、防水効果あり、体から出る熱を反射させることで体を暖かく保つことができます。

さらに、足元の冷え解消には靴下の上からアルミホイルを巻き、さらに靴下を履くと暖かいでしょう。


雨ガッパ
服の中にカッパを着ることで風を通さず体温を逃さないため暖かいです。

大きなビニール袋でも代用できますよ。

カイロ
太い血管の通っている場所や、体を温めるツボの位置にカイロを貼ることで効率的に体を温められます。

具体的に貼るといい部分は「首のうしろ・お腹・背中・腰・ふくらはぎ・足首」です。

特に首のうしろは温めることで身体全体を温めることができます。

段ボールや新聞紙
段ボールは床に敷いて床の冷たさを和らげることができます。

紙は断熱性があり体から発した熱を外へ逃さないため、新聞紙を体に巻きつけることで、体を温められます。

また、寝袋の中にくしゃくしゃに丸めた新聞紙を入れると保温効果を得ることもできます。

防寒する際に気を付けたい事

体を締め付けない
重ね着で体を締め付けると血行が悪くなり逆効果。

ゆとりのある服を着ましょう。

手足首から体温を逃さない
首にタオルを巻いたり、袖口にテープを巻き、隙間から体温を逃さないようにすることが大事です。

”とつく部分(首・手首・足首)には血流の多い動脈という血管が通っていることから、温めることで効率よく全身の血液を温めることができるため冷え対策になります。

マフラー・ネックウォーマー・手首ウォーマー・靴下・足首ウォーマーなどを活用しましょう。

また、これらを持ち合わせていない時に代用できるのが新聞紙

そのまま巻くのではなく、くしゃくしゃにしてから巻くことで空気を含み暖かくなります。

まとめ

いつ起こるか分からない自然災害。

それによって明日から避難生活が始まってしまうかもしれず、被災時の衣類の備えはとても重要です。

そして、寒さは身体的にも精神的にも負担になります。

少しでもそのストレスを減らせるよう…。

東日本大震災で被災した知人は、寒さが本当に堪えたそうで、コンパクトなアルミシートをいつもバッグに入れ持ち歩いているそうです。

当時のその話とアドバイスがとても切実で、出掛ける時は私も欠かさず持ち歩いています。

衣類を備えていない方は今から!準備済みの方は中身の確認を!

時間が経つと緊迫感も薄れてしまうので、これを機に防災バッグを見直ししてみましょう。

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