秋は朝夜と日中の寒暖差がすごく、体調を崩しやすい季節。
そのため寝具類選びも一苦労で、肌寒くて朝早く目が覚めるなんて経験をされた方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は悩みがちな秋の寝具類選びについて見ていきましょう。
室温ではなく気温で選ぶ

秋に使うのにおすすめの寝具を紹介する前に、選ぶ基準について見ていきましょう。
心地よい眠りを得る為には「気温」ではなく「室温」に注意するのがポイント。
理想的な秋冬の室温は「約20℃前後」、湿度は「約50~60%」と言われています。
まず寝室に「温度・湿度計」を置いて、室温・湿度を確かめることがおすすめ。
理想的な室温との差や、エアコンなど空調機器の使い方も考えながら、掛け布団やパジャマ、シーツ・敷きパッドなどを替えてみてください。
掛け布団の選び方
室温をもとに寝具を選ぶわけですが、では何度の時にどんな布団を使うのがベストなのでしょうか。
下記の図を基に見ていきましょう。
室温25℃以上が続く頃
まだ夜も暑さが残っているなら薄めの布団で、腹部を中心に掛けてお腹が冷えるのを避けましょう。
・綿毛布
・タオルケット
・ガーゼケット
・ダウンケット
(※羽毛が少なめに入っている、薄い掛け布団のこと)
など
室温25℃前後が続く頃
少し暑さが落ち着いてきた、またはエアコンを強めに使う方などはこちらがおすすめ。
・羽毛肌掛け布団やダウンケット
・毛布(ポリエステルなどの化学繊維のものも)
・合繊掛け布団
(※主にポリエステル素材のわたが詰まっている布団のこと)
など
室温20℃前後が続く頃
少し朝方に肌寒さを感じるなら、やや厚めの布団に変えてみましょう。
・毛布(ポリエステルなどの化学繊維のもの)
・羽毛肌掛け布団と、綿毛布やガーゼケットなどを重ねる
・真綿の掛け布団
・合掛けタイプの羽毛布団
(※ダウンケットより多めに羽毛が入っている、やや厚めの掛け布団のこと)
など
室温15℃前後が続く頃
寒さが気になるなら、厚めの布団を使って体が冷えないようにしましょう。
・冬用の羽毛布団(本掛け、2枚合わせなど)
・厚めの毛布(二重毛布)
など
室温10℃以下が続く頃
寒さが厳しい環境では、布団の中と外の気温差にも注意しながら、あたたかい布団を使います。
・冬用の羽毛布団(本掛け、2枚合わせなど)と、真綿掛け布団やウール毛布などを重ねる
など
室温や温度の感じ方は人それぞれ異なります。
また、お住まいの地域や、マンションなのか戸建てなのかなど「住環境」によっても異なります。
他の寝具(敷きパッド、シーツやカバー)との組み合わせも関わりますので、上記は目安としてご参照ください。
秋におすすめの掛け布団

秋は夏や冬に比べて過ごしやすい時期といえますが、一方で季節変化に伴うストレスを感じやすく体調を崩しやすい季節です。
そこで少しでも体に負担がかからないよう、秋ぴったりの掛け寝具をご紹介します。
ご自宅にあるもので組み合わせたり、購入する際など参考にしてみてください。
合掛け布団
特におすすめしたい寝具は「羽毛合掛け布団」です。
意外に使用している方の割合は少ないのですが、とっても便利なんですよ。
合掛け布団とは冬用の羽毛布団よりも羽毛量が少なく、肌掛け布団よりも多い、ちょうど真ん中くらいのものを指します。
【一般的な羽毛充填量・シングルサイズ】
・羽毛掛け布団…1.2㎏前後
・合掛け布団…0.8~1.0㎏前後
・羽毛肌掛け布団…0.3~0.5㎏前後
秋頃だと冬用の羽毛布団ではまだ暑すぎて汗をかいてしまう、かといって肌掛け布団では少し物足りないなんて経験はありませんか?
そんな時に大活躍するのが合掛け布団です。
さらに合掛け布団は秋だけでなく、冬から春へ季節が変わるタイミングでも重宝します。
また、最近は住宅の気密性が高くなっていることや暖房によって部屋が暖かくなっているなどの理由から冬でも合掛け布団1枚で過ごされる方もいらっしゃいます。
特に人気なのが「2枚合わせタイプ」、「デュエットタイプ」と呼ばれる合掛け布団と肌掛け布団をパチッとボタンで重ね合わせて使用することのできる形状の掛け布団です。
このタイプだと上記の冬用羽毛掛け布団の役割も補うことができ、余分な寝具を持たずにすむため、自宅のスペース確保にもつながります。
ただ、この2枚合わせタイプ、注意したい点が2つ。
1つ目が「重さ」です。
2枚合わせのものですと当然ですが、側生地の重さが倍になるのでシングルサイズで比較すると冬用の羽毛ふとん1枚よりも0.8〜1.0kg程重くなるといわれています。
重い布団があまり好きではない方は要チェックです。
2つ目に注意したいのが「保温性」。
羽毛ふとんは立体キルトといっていくつもの、側生地の中にいくつかのマスをつくり、縫製されています。
キルティングのマス目の高さが高いほど暖かな空気をより含むことができます。
反対にマス目の高さが低いと、膨らみが少なく、保温性が少なくなります。
もし仮に同様の品質の羽毛を同じ量使用したとしても、羽毛が膨らみ、暖かな空気を閉じ込める空間の広さが異なるので、2枚合わせの羽毛布団よりも1枚ものの冬用羽毛布団の方が保温性は高くなるというわけです。
冬は寒くて冬用の羽毛布団が手放せないという方や寒がりの方には不向きなタイプとなります。
また、今お持ちの羽毛掛け布団がご自身の体感から分厚すぎる、暑くて使用しにくいなどと感じている方には、羽毛のリフォームで中の羽毛の充填量を減らす方法も有効です。
良い羽毛布団を使っているので買い替えるのはもったいないという方は、ぜひ1度羽毛リフォームを検討してみてはいかがでしょうか。
肌掛け布団とタオルケット

秋に使用する布団というと「肌掛け布団」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。
見た目も薄手の掛け布団という印象で、中綿は羽毛以外にもポリエステルや綿のほか、機能性のある素材など様々なものがあります。
お好みの素材、もしくはご自宅にあるものを使用してみてください。
秋の初めごろは肌掛け布団1枚でも十分ですが、肌寒いと感じた場合にはタオルケットと組み合わせると保温力が高まるのでおすすめです。
保温性を高めるのが目的であれば、まず肌掛け布団をかけてその上にタオルケットを掛けましょう。
タオルケットは薄くて軽いことに加えて、吸湿性が高いため、汗をかいたり湿気にも強いアイテムです。
洗濯も自宅で簡単にできるので、夏だけでなく秋や春などの季節の移行期間には必ず足元に置いておくなど出番を増やして活用していきましょう。
さらに秋はガーゼが何増も重なっている厚手のガーゼケットを組み合わせるのも◎。
肌触りや通気性を向上させることができるので、気持ちよく眠ることができます。
薄手の毛布やケット

綿やウール素材などの薄手の毛布は暑すぎず適切な保温力で、1枚で寝冷えを防ぐことができます。
天然素材なので寝床内に湿気がこもりにくく快適に眠ることができますよ。
また、タオル地のキルトケットなども使い勝手によくおすすめです。
キルトケットとはキルティング加工が施された薄い肌布団のことをいいます。
キルティング加工されているので中綿が偏らない点も嬉しいポイント。
タオルケットと比べてみても軽いので、体への密着性も程よく、寝返りもそこまで妨げられません。
真綿布団
秋の気温に最適で肌触りもいいシルク100%の真綿布団もおすすめです。
シルクの真綿掛け布団は、じんわりと優しく保温し、独特な風合いからリラックス効果があると言われています。
細い繭の糸が何層にもなっていて空気をたっぷり含んでいるため、軽くて吸湿発散性にも優れています。
更にセリシンという成分が肌をスベスベにし美容にもいい影響を与えてくれ、心が豊かで優雅な気持ちで心地よく眠ることができます
真綿の掛け布団を使用する場合は、せっかくなのでカバーもシルクの物を選ぶようにしましょう。
カバーやシーツも秋にピッタリの物を選ぼう

秋に使用するカバーやシーツなどは、適度な保温力で温度調整もできる天然素材のものがおすすめです。
秋はまだ湿気も残っているので、寝床内の温度を快適に保ち、ムレを防いで眠りをサポートしてくれます。
代表的な素材は綿ですが、糸の太さは細ければ細いほど滑らかな肌触りになりますし、織り方にも種類があり、肌触りと通気性に優れている「朱子織(サテン)」がおすすめです。
前述したように少し高級ですが、布団カバー・シーツ・枕カバーなどをシルクに替えると光沢のある滑らかな肌触りで、睡眠中の体温調節・血行の不良防止にとても大切な寝返りをスムーズにサポートしてくれます。
自然な寝返りを楽な力で打てることは睡眠の質を上げるにはとても重要です。
また、カバーの色も秋らしく、温かみのある色合いに変えてみるのはいかがでしょうか。
オレンジやイエローを取り入れたり、ベージュやブラウン、アイボリーなどの色は見た目にも温かさを感じさせてくれます。
敷パッドも秋仕様に変えるとより良い寝心地に

この時期は通年使用できる素材の敷きパッドで問題ありませんが、秋はまだ湿気が多い季節なので、吸湿性のある天然素材が良いとされています。
特に綿素材の場合は、パイルやタオル地の敷きパッドは肌あたりもソフトで優しく、汗の吸収率が高いので、敷布団やマットレスに湿気が溜まるのを防いでくれます。
またウール100%の敷きパッドも弾力性がありながら、通気性・吸放湿性に優れているのでおすすめです。
さらにこの機会に敷きパッドを思い切ってシルクにしてみるのも効果的。
シルクは綿以上に吸湿性が高いですし、湿気を発散する放湿性にも優れているので、寝床内の湿度コントロールをしてくれて、質の高い睡眠の確保が可能になります。
パジャマ選びにも気を配ろう

秋が深まれば気温も低くなってくるので、パジャマを見直すことも大切です。
部屋着でそのまま寝ている人が多いと言われていますが、寝るときは専用のパジャマをぜひ着てみてください。
パジャマは寝返りも打ちやすい上下セパレートタイプがおすすめ。
ワンピースタイプは寝返りの打ちにくさに加え、裾がめくれてしまったりして眠りの妨げになるので避けた方が良いと思います。
秋からは下半身が冷えて血流が悪くなる短パンやショートパンツはNG。
長ズボンで通気が良く、サラッとした生地をチョイスしてみましょう。
上に着るものは日によって少し迷うかもしれませんが、薄手で通気性のある長袖パジャマか7分袖のものなどで調整してみてください。
冬は長袖+長ズボンで、襟元やズボンの裾が冷気の入りにくいデザインなら、寒さを防ぐことができます。
寒いからといって着込みすぎや厚みが極端にあるものは避けて、布団を掛けてちょうどいいくらいのパジャマのボリュームにしましょう。
秋の快眠には寝室の温湿度にも注意

秋は気候が良いので特に室温や湿度を気にしないでもOKと思われがちですが、急な温度変化や湿度の差をコントロールすることは重要です。
最も快適な環境は、夏季は室温26℃、湿度50〜60%とされています。
冬季は布団などを使いますので16〜19℃、湿度は夏季と変わらず50〜60%が最も寝心地が良いとされています。
これから冬に向けては湿度も低くなり、乾燥しやすくなるので加湿器を併用し、適切な湿度を保つ工夫をしていくことが大切です。
寝室には温湿度計を置いてチェックし、気温の変化は夜のうちに予測をチェックし、適温を保てるようにエアコンのタイマーなども使って上手にコントロールしていきましょう。
さらに睡眠の質を上げるために寝室で意識したいのは「掃除」です。
「寝室全体のホコリを取ること」はもちろん大切ですが、「寝室に置くものの数を減らす」のもとても大切です。
寝室にものが多すぎると刺激されてしまい、なかなか入眠モードに切り替わらず、深い睡眠に入りにくいともいわれています。
そして「カバーやシーツの洗濯」も重要。
カバーを外したり、また付けなおしたりと面倒なので後回しにしがちですが、毎日枕や布団で直接肌に触れているカバー・シーツ類は週に1回は洗濯し、清潔に保つようにしましょう。
まとめ

日本には四季があるため、寝室も外気温の影響を避けられません。
季節の変化があっても1年を通じて快適に眠るためのポイントを理解し、実践することで、睡眠不足を防いで、体の疲れを軽減することができます。
季節の変化を予測して前倒しで寝具やパジャマを準備しておくことで、そのときに適した寝具環境で眠ることができます。
季節の変わり目に心身が感じるストレスやダメージをゆるやかにするためにも、その間は移行期間として前後両方の季節の寝具パターンを再現できるようにアイテムを足元に置いておくことも大切です。
今回紹介した快眠のためのアイディアを参考にし、心地よい睡眠を積極的に取って元気に過ごしていきましょう。
