衣類をクリーニングに出した際、ボタンにひびが入ってきたり、割れてきたなんて経験はありませんか?
ブランドロゴが入っている物やお気に入りの服でそんなことが起きたらショックですよね…。
そもそもボタン割れはどうして起きるのでしょうか。今回はそんなボタン割れについて見ていきましょう。
どうしてボタンが割れるのか?

早速ですが、クリーニングでボタン割れが起きるのは何故なのでしょうか?
原因はいくつかあり、中には避けるのが難しいものも…。
クリーニングでボタン割れができる理由をここでは大きく3点に分けてご説明します。
洗濯やクリーニング中の擦れ
家庭の洗濯もクリーニングも、洗剤(クリーニングの場合は溶剤)の作用と洗濯機の回転運動によって汚れを落としているのは同じ。
洗濯槽の中で、衣類がいろいろなものと擦れ合うことは避けられません。
この際、洋服が擦れて衝撃を受ける角度などによって、ボタンが割れてしまうことがあるのです。
またクリーニングではワイシャツにプレス専用の機械を使用しているため、ひびが入っているボタンがプレスの圧力に耐えられず割れてしまうケースも見られます。
高温に耐えられなかった
洋服の洗濯表示に記載されている設定通りの温度で処理したのに、ボタンが溶けてしまう……というケースもみられます。
これは洗濯表示と実際の耐熱温度が違うことが原因です。
ボタンの寿命
消耗品である為、ボタンその物にも寿命があります。
特にスーツやワイシャツなどの袖口のボタンは机などに接触することが多く、衝撃を受けて割れやすいのです。
そのときは割れるほどの大きな衝撃を受けていないとしても、小さな衝撃が繰り返されることでボタンにひびが入ります。
そんな小さなひびが入ったボタンが寿命を迎えて、洗濯の際のボタン割れにつながるのです。

ワイシャツボタンの材質

ワイシャツのボタンとして使われるのは大きく分けて2種類です。
普及品の多くには「プラスチックボタン」が使用されています。
一方、高価なシャツには「貝ボタン」が用いられることが多いです。
この他にもボタンに使用される材質はありますが、ここではよく使用される「貝ボタン」と「プラスチックボタン」に絞ってご紹介します。
貝ボタン

原料は、高瀬貝、白蝶貝、黒蝶貝、アワビ類などの貝殻を原料とし、一個ずつ手作業で切削して作られています。
天然素材の優雅な光沢、微妙な色合い、模様の違いがあり、同じものが二つとして無いことが特徴です。
しかし、熱に強い反面耐久性が弱く、衝撃などを受けると割れが生じます。
中には通常着用時に割れてしまうことも…。
プラスチックボタン

強度、耐熱性、耐薬品性のどれもが標準以上で、ワイシャツに限らず多くの衣服で利用されています。
材質の観点では特にクリーニング上の問題はないと言われてきました。
ただ、形状によっては高温高圧や強い衝撃を与えることで、亀裂が入ったり完全に割れたりすることもあるようです。
割れやすいボタンの見分け方
先述の通り、貝ボタンは材質上割れやすく、プラスチックボタンは材質的に比較的丈夫といえるでしょう。
ところが、そんなプラスチックボタンでも割れてしまったり欠けたりするケースがあります。
その原因は、ボタンの形状。
では、どのような形のボタンが割れやすいのでしょうか。
それはズバリ、角張ったり反り返ったボタンがが割れやすいです。
反対に、丸みを帯びたボタンは割れにくいと言われています。
ガラス製品がその材質上落としたら割れやすいのと同様に、貝ボタンや角張ったり反り返ったボタンは、衝撃や強い力が加えられることで割れやすいというのを知っておくことが重要です。

家庭での洗濯で気を付けるポイント

おうちで洗濯するときにボタン割れを防ぐためには、ボタンを1〜2個おきでかまわないので閉めて、裏返しにして、洗濯ネットへ入れて洗うのがポイントです。
ただし、ネットに入れると洗浄力が低下するので、ネットに入れない方が汚れ落ちはアップします。
もし、汚れを落としつつボタン割れを防ぎたい場合は、手洗いがおすすめです。
クリーニング前に確認したいポイント

クリーニングに出す衣類のボタン割れを防ぐには、ひびが入ったボタンや割れているボタンがないか、クリーニングに出す前に一度ご自身で確認するとよいでしょう。
縫いつけられた状態でボタンが欠けていると気がつきにくいので注意してください。
割れそうなボタンを発見したら、まずは外してクリーニングに出した方が安全。
ボタンが欠けていたり、無くなっていてボタンのスペアをつけ直す場合は、クリーニングから戻ってから付けた方が良いでしょう。
クリーニングでボタン破損が起きるタイミング

クリーニング処理の中で、ボタンが割れる可能性の高い工程というのがあります。
それはおおむね「洗浄工程」と「プレス工程」の2つが考えられます。
では一体これらの工程で、ボタンが割れやすい理由とはどのようなものでしょうか。
一緒に見ていきましょう。
プレス機を使ったプレス工程での破損
クリーニング店には、短期納品や低価格という消費者ニーズに応えるべく、手間と時間のかかる仕上げ工程の時間短縮の為、特別な機械を導入しているお店があります。
特にワイシャツの仕上げ工程では、生地が厚いエリとカフス部分のみにプレスを行う「エリ・カフス仕上げ機(通称:三山プレス機)」という機械が用いられることがあります。
エリ・カフス仕上げ機は、上下にあるパットでワイシャツのエリとカフス部分を一度にプレスする仕組みで、仕上げ作業時間の短縮化を図ることが出来る為、チェーン店の工場のみならず個人店の一部店舗でも導入されているような、ポピュラーな機械です。
ところが、パッドを定期的に交換することなく硬い状態になっても使い続けていると、必然的にカフス部分のボタンに対する加熱を伴う加圧により、破損する場合があるようです。
また、カフス部分の山の角度が強い為、ボタンが斜めに擦れるように加圧されることで破損する場合もあります。
その点、アイロンのみによる手仕上げの場合であれば、同様の破損事故は避けられます。
しかし、やはりこれも作業を行う人の意識やお店の方針などによっては、重いアイロンで無理にプレスを行うことで事故を引き起こす場合もあるようです。
洗浄工程での破損
クリーニング店で使用される洗濯機は、その内胴がステンレス製の金属で出来ていますが、洗浄処理中に内胴と接触する中、強い衝撃を受けることにより亀裂が入ったり割れてしまう場合があります。
防ぐ方法としては、洗濯機内に入れる品物の分量と水の量を適量にすることが必要と求められています。
クリーニングに出した服のボタンが割れてきた…

クリーニングから洋服が帰ってきたらビニールを取って、すぐに仕上がりをチェックしてください。
ビニールの袋のまま保管している方もいるかもしれませんが、実はビニールをかぶせたままにしておくと、変色の原因になることがあります。
衣類の仕上がりをチェックする際に、あわせてボタン割れも確認するとよいでしょう。
もしボタンが割れてきた・無くなってきたら…
クリーニングに出してボタンが破損・紛失してきた場合は、クリーニング店の過失によるものと判断されれば弁償してもらえる場合があります。
というのも、クリーニング業にはクリーニング事故賠償基準という制度があり、これは全国クリーニング生活衛生同業組合連合会が定めた基準です。
この基準では、クリーニング店の過失によって衣類が破損、紛失、変色、縮みなどの被害を受けた場合に、賠償金額が定められています。
また、弁償ではありませんが似たボタンをつけ直したり、メーカーに問い合わせて同じボタンをつけ直してくれるお店もあります。
ただ、ボタンは消耗品でもあるため弁償の対象外になっているお店も…。
免責事項等に記載されてはいますが、暗黙の了解ということで受付時に確認しない店舗も多いです。
もし気になる場合は、利用する前にその店舗の免責事項をチェックしましょう。
まとめ

今回はクリーニングで起きがちなトラブル「ボタン割れ」について見てきました。
あまりボタンが消耗品だという意識をしていた人はいないのではないでしょうか?
お店でどのように扱ってクリーニングしているか、消費者目線ではわかりにくい部分もありますが、事前に免責事項などをチェックしてしっかりとお店選びをすることが大切です。
また、お気に入りの衣類に関しては手仕上げなどの少し高いコースを選ぶのも一つの手です。
普段のクリーニングよりお値段は上がるかもしれませんが、素材や服の形状に合わせて丁寧にクリーニングされるので、その分ボタン割れも起きにくいと言えるでしょう。
それでも、もしボタンが割れてきたなんてことがあったら早めにお店に連絡することが大切。
この記事のポイントをおさえて大切なボタンを一日でも長持ちさせましょう。
